以前にも何度か取り上げたが、国交省が1年以上も前から協議を繰り返している不動産情報ストック整備。
2015年から試験的に運用開始を予定している。
簡単に言うと、不動産取引上のあらゆる情報を、誰でも閲覧入手できる仕組みだ。
不動産市場の活性化を目指して国が取り組んでいるものの一つ。
個人的には、レインズなんてものはいらん、と思っておるのです。
(レインズとはReal Estate Information Network System、不動産業界の情報ネットワーク)
不動産業者だけが閲覧できて、なんの意味があるんじゃ?
有効に活用されてるわけでもないしね。
業界人ですら、レインズに載っている情報は出回り物件とみなし、見向きもしない。
買い手から依頼された不動産業者が、このネットワークシステムを利用して物件を検索できる仕組みなんだが、売り手側エージェントは、いい物件は登録しない。
いわゆる囲い込みですわ。
自分とこで囲って、買い手を見つけて、両手仲介を狙う。
そりゃ、おいしいわなー。
物件の登録は一応義務づけられてるけど、登録しなかったからといって何の罰則もありゃしません。
んなもんだから、自分で持ってても売れそうもないカス物件を載っける、みたいなことが起こる。ま、普通に考えられることです。
2002年に創設された指定流通機構が運用するこのシステム、もう、ええわ、いいかげん。
で、国交省さんもおバカでないから、不動産取引の情報のあり方を見直そうと、取り組んでいるのが、既述の不動産情報ストック整備。
何より、一般の人が自由に閲覧できるようにするということは大きい。
取引価格を公表することについて個人情報がどうのこうの、と言う声があるようだが、そもそも取引という形態で価格を公示しないことのほうが不自然だと思うのだが??
これについては、プライバシーの侵害には該当しないということ、当局が丁寧に丁寧に審議しておりますので、資料をご覧下され。
http://www.mlit.go.jp/common/000221222.pdf
お手本は、米国のMLS(Multiple Listing Service)。
不動産業者が、ここに物件を登録すると、一般消費者が、各不動産ポータルサイトからアクセスできる仕組みだ。
その一つをちらっと覗いてみた。
まるで、株式銘柄を選ぶような感覚で、過去10年間の価格変動まで出てくる。
おまけに、エージェントも、☆の数で評価されている。
不動産情報ストックは、もちろん価格だけではない。
住宅の修繕や点検などの履歴情報や、土地の法令上の制限、自然災害頻度や地盤の状況なども、一元的に見える仕組みとする方向だ。
今は、それぞれがバラバラに管理されているので、一般消費者はもちろん、不動産業者ですら、十分な情報を入手するのに時間と労力が強いられている。
不動産を購入する側からすると、情報の少なさほど不安なことはない。
これは、不動産に限らず、大きな資金を投ずるものに対しては、普通に抱く感情でしょう。
なぜ、それが今までできていなかったのか。
不透明な世界で、おいしい思いをしてきた人種が自らの領地を侵されたくなかったんだろうね。
意味のないレインズはオシマイにしてさ、物件囲い込みでセコいことしなくても流通市場が活性化していきますから。