相続税の節税対策に賃貸住宅を建てるのはどうなの?という話(前)

 

相続税なんて、自分にはまず関係ない話だと思って大して気にも留めなかったけど、最近ハウスメーカーがやたらと元気がいいのは、賃貸住宅の建設が熱を帯びていることも一因のようだと聞いて、相続税でそんなに頭を悩ます人が多いのか、と半分驚き、半分羨ましかったりもする。

 

相続税と賃貸住宅が何の関係があるのか、というと、ズバリ節税。

ま、それだけっちゃーそれだけだが、ハウスメーカー側から営業を仕掛けているぐらいだから、それなりに効果はある。

周知の通り、2015年1月1日から相続税基礎控除と税率改正が施行される。

基礎控除額は縮小され、税率は上がるという、どちらも払う側にとって不利になるもの。

基礎控除額は現行の6割に減

現行 5000万円+1000万円×相続人数

改正後3000万円+600万円×相続人数

税率は、2億円超(3億円以下)で45%、6億円超で55%というのが新たに設けられた。

 

例えば、仮に、土地の評価額が5000万円だとしましょう。(自宅はボロ屋で評価額ゼロとして)

父親なくなって、妻と子二人が相続するとすれば、現行では非課税。

が、改正後は、200万円の評価額。

首都圏で評価額が5000万を超える土地なんてザラで、東京郊外でも億を超える土地はそこらじゅうにある。

基礎控除額の縮小は、首都圏で自宅を持っている人なら、ほとんど該当してくるだろう。

 

んで、賃貸住宅がなんで節税になるのかというと、この相続税評価額が低く評価されるから。

借地権割合(50~60%)、賃貸割合(30%)が差っ引かれて、実際の評価よりもおおむね15~18%低く評価される。

例えば、上の例でいえば、5000万円が4100~4250万まで下がる。

で、このボロ屋を賃貸住宅に立替えたとする。

3000万円で建てたとすれば、建物の評価額(固定資産税評価額)はおおよそ6割程度の1800万円。

それに借家権割合分が差っ引かれるので、1260万円。

実際3000万円が1260万円の評価額まで下がるということだ。

 

当然、現金で3000万円を持っていたら、まるまる相続税の課税対象となるので、

土地5000万円+現金3000万円=8000万円の課税評価額。

が、賃貸住宅を建てたとたん、

土地4100万円+建物1260万円=5360万円まで下がる。

 

さらに、現金を持っていなくて、建築費3000万円を借入して建てた場合、借入金はまるまる課税対象から差っ引かれるので、上記の例でいけば、5360万ー3000万=2360万円の評価額となる。

と、相続税評価額<基礎控除額で、とたんに非課税となってしまうわけだ。

 

とまあ、こんなカラクリのような(いやカラクリではないが)ビックリ仰天話を、地主さんに持ちかけて、ハウスメーカーは地道に賃貸住宅の建設を推し薦めているらしい。

んー、アッパレというか、涙ぐましいというか。

 

んでもね、建てりゃいいっていうもんでもないのが、持論。

きちっと賃貸経営できなきゃ、何の節税にもなりませんよ、ということを次回に。

子どもに迷惑かけたくなければ相続の準備は自分でしなさい

 

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