「私の他に2人申込者がいるんですよ。すごく気に入っているんだけど、買えるかしら?」
んー、確かに古いが、それなりにしっかりした管理とメンテナンスが行き届いていて、築年数29年という古さを思わせない外観だ。
しかも驚いたことに、管理組合で共用部分の給水管を樹脂管に変えているというのだ。
この年代の建物は、ほぼ100%が鉄管の給水管。
鉄製というのは、30年もすれば、少なからず錆が出始める。酷い場合は、蛇口からそれこそ赤茶色の水が出てくるわけで。。
専有部分の部屋内をリフォームついでに、給水・給湯管を交換するって話はよく聞く。
んが、共用部分はオイソレと勝手にはできまへん。
みんなのものだから、みんなの合意が必要。修繕積立金という、みんなで積み立てたお金で修繕するわけだからね。
そんなわけで、専有部分は交換しても共用部分は手つかず、ということはよくある話。
それが、専有部分はもちろん、共用部分まで交換してあるというから、こりゃ、お買い得!
ご本人も、是が非でも欲しい!!!と切望しておりました。
数日後、彼女から電話。
「買えそうなんです!」キターーーー!!!
おー、そりゃよかった、よかった、と喜んだのもつかの間、どうも彼女の声がパッとしない。
何か心配事でも??
ちょっと、税金のことが・・・
実は、彼女、ご両親からの贈与を受けて、購入を考えていたらしい。
確定申告で、税金の控除が受けれるかしら・・・というのだ。
住宅資金贈与、つまり、住宅を購入するために受けた贈与の場合、通常の贈与と違って非課税となる。
た・だ・し。
買う住宅には条件がある。
登記簿上の床面積50㎡以上、240㎡以下(実際の売買面積はもうちっと大きい)
中古の場合は、築20年以内。ただし、耐火建築物(鉄筋コンクリートはコレに該当)だと築25年以内。
彼女の場合、面積はクリアだが、築年数がアウト。
が、ネックとなる築年数の壁も、耐震基準を満たすことを証明するものがあれば、制限はかからない。
彼女曰く、「新耐震基準以降(1981年以降)の建物だから、仲介業者さんは、証明書はすぐに取れるって言ってますけど・・・・」
や、アウトです。(・・・汗)
とてもとても現実的な話とは思えませんな。
新耐震基準で設計されていたからといって、即証明とはならない。
いわゆる「耐震基準適合証明書」というものは、第三者機関が当時の構造計算書や設計図書をひっくり返して検証し、実際に耐震性があるのかどうかを審査して証明するものだ。
当然、建物全体のことになるから、個人で勝手に依頼して取れるものでもなく、ここでも管理組合の合意が必要だ。しかも、相応のコストがかかる。数万円でちゃっちゃというわけにはいかんのですよ。
ちなみに、上記の条件は、住宅ローン減税についても全く同じ。
ということで、結論。
中古買うなら、自己キャッシュでイコウ!
ま、借り入れや贈与受けるにしても、税金の負担が苦にならない程度に。
もしくは、築25年以内のものにしとくかだね。
彼女にとっては残念な話だが、それでも後で想定外の税金がドサッと来るよりはマシなんでない?