「住宅ローン減税は悪」とする意見に一言

 

消費税増税後の住宅市場の落ち込みを配慮してか、一般庶民心中を察してかは定かでないが、「増税」の替わりにボーナスとして与えられたのが、住宅ローン減税の延長&拡幅だ。

ふと、目に入ったこの記事「住宅ローン減税は悪である」に対し、少し違和感を持ったので一言二言、書き留めておこう。

 

筆者が言うように、確かに、増税に対するボーナスとして減税の延長&拡幅は、一般庶民に対してのメリットは、さほどないだろうことは、以前のエントリーでも述べた。コレ↓

増税と住宅ローン減税について、もう一度ちゃんと考えようという話。(後)

 

要するに、減税対象はローン残高に対するもの故、それだけの借り入れができる層にしかメリットがないということ。

5000万、6000万、7000万といった価格の住宅、扶養家族を抱えた30~40代の平均サラリーマンが、おおよそ取得できる価格帯ではない。

結局、それだけの借り入れができる層にしか、メリットは感じられないのが、増税に対しての住宅ローン減税だ。

 

しかし、家賃に対する給付があってしかるべきだ、とする筆者の意見にはいささか、行き過ぎたものを感じる。

筆者は、マイホームを持つ層は富裕層で、賃貸住まいは低所得者層という考えが根底にある。

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マイホームを持つこと、これが一定のステータスを意味することは、間違いではない、いやなかったと過去形が正しいだろう。

そう、今まではそうだった。

経済右肩上がりで、不動産価格がどんどん上がっていた時代、マイホームは文字通り『資産』足り得た。

 

そして成長が鈍化した現代、買えば上がる「不動産神話」も失せた今、マイホームが資産足り得るかといえば、必ずしもそうではない。

建物は、ご存知の通り買った瞬間から値が下がり、35年とかという長い年月を経てローンを払い終えた時には、取得価格のいくらの価値も残っていないケースがほとんどだ。(都心の一等地はまた話が別だが)

さらに、35年後の地価が、取得時よりも上昇しているかどうかなんて、誰にもわかりっこない。

そう、神話は、もはや寓話になってしまったのだ。

 

家賃を払い続けるのは、お金をどぶに捨てているようなもの、住宅ローンで家賃と同じだけの支払いを続けていれば、払い終わった時には、手元に資産が残りますよ。

そう言って、住宅販売業者は売っていたのも今は昔。

今、彼らはマイホームを資産だとは、誰も言いません。

 

マイホーム=富裕層、賃貸=低所得者層、という考え方には、私自身はNOである。

もう少し言うならば、マイホームが「資産」足るかどうかという究極の議論では、YESでありNOである。

 

詰まる所、住宅というものは、不動産としての『資産』と同時に、家族の夢や思い出、そういった目に見えない大切なものを包み込む箱であると、考える。

金銭的な価値だけでなく、文化や歴史としての価値、そうした目に見えない価値を持つものだ。

 

マイホームは今買いどきですか?

そういう問いかけに、欲しいと思った時が買いどきと答えるのは、そういう意味だ。

家族や自分自身の大切な時間を創る箱として、マイホームが適切だど思えば買えばいいし、家族のライフスタイルとして賃貸が適切だと思えば、借りればいい、それだけのことだ。

それぞれのライフスタイルに合わせて住まいの形を選ぶ、これが私の住宅に対する考えである。

 

 

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