建築はシェルターか凶器か、世界で起きる災害に思ふ。

 

外は雨、というか台風で、何やら10年ぶりの巨大台風とか言ってますけど、マジですか。

こういう日はどこにも出かけず、じーっと家に籠るにつきる。

窓から横殴りの雨を眺めながら、屋根と壁で包まれている感覚が、ジワリと温かい安堵感に変わる。

あー、雨風凌げる家があってよかったー。(言っときますがホームレスじゃありませんので誤解なきよう)

しかし、ホームレスのおっちゃんたちは、こういう日はどこに身を隠しているのでせう?

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本来、建物はそれぞれの用途の目的を果たす機能性と同時に、人を外界の風雨から守るシェルターとしての役目を果たす。

そう、ずっとずっとシェルターであっていて欲しいと思う願いをよそに、大自然の脅威の前に、それは一変して凶器となりうる。

地震大国日本を筆頭に、世界各地で起こる自然災害に、建物が牙を剥く。

つい先ほどフィリピンで起きた地震でもまた、死傷者が報じられているが、

「建物内は安全ではないので、外にいる」という現地人。

繰り返し襲ってくる余震に、彼らにとって、もはや建物はシェルターではない。

 

ここ日本の現行基準で造られたものなら、M7程度では損傷はするが崩壊はしない。

ここにいれば、室内の家具や内装が落下するのをよけるため、咄嗟に机やテーブルの下に隠れはするものの、建物が総崩れして下敷きになることはまずない。

旧耐震だと揺れ方によっては危ないかもしれないが、基本的に、建物がダメージを受けたとしても、究極的には靭性(粘り強さ)で崩壊せず、内部の人間の生命を守る、というのが現行基準の考え方だ。

それでも、ガラスの飛散や天井の落下で生命に危険が及ぶ。

東日本大震災後に、国交省が通達した天井設置基準は、各地で受けた天井落下事故を受けて対応されたものだ。

 

もう一つ、防災の観点から言えることは、火災に対しての考え方である。

とにかく、キビシイ。設計者&施工者泣かせの防火規定とも言えるほど、とにかくキビシイ。

例えば、何気に建物にくっついて見える階段も、全てその構造、大きさ、位置、が火災発生時の避難を想定して規定されている。

設計者&施工者の半分以上は、消防検査を疎ましく思っているハズ。間違いない(キッパリ!)

 

こうみていくと、とにかくお役所のがんじがらめに縛られているように見えるここ日本の建築だけれども、もちろん初めっからこんなガチガチであったわけではない。

昭和25年に建築基準法たるものができて、長年に掛けて、改訂を重ねて今に至っている。

たぶん、これから先も変わっていくだろう。

それは、度重なる災害の経験をもとに、何度も考察が行われた結果である。

いわば、多くの犠牲者の上に、今私たちが守られていると言っても過言ではない。

 

建築というものは、文字通り大地に根を張るものであるから、それぞれの国の風土、気候、習性そして文化など、それぞれの独自の適したやり方で行わなければならない。

災害の経験をもとに、各地での検証が望まれるところだが、まだ国の制度として整備がおぼつかないところも多い。

そうした国々が、日本の研究機関に派遣されてやってきているケースも珍しくない。

 

独立行政法人建築研究所(業界ではケンケンって言われてます(笑))が今月初頭に発表したところによると、世界12カ国、計21名の研修生をJICAと政策研究大学院の協力で受け入れている。

建築研究所ニュース

http://www.kenken.go.jp/japanese/information/information/press/2013/341.pdf

 

世界に対し、こうしたところで日本の知識や知恵が活かされているというのは、素直に嬉しい。

たぶん、我々日本も、彼らの国々から学ぶべきことは多くあるはず。

一方的な知識の押しつけではなく、お互いに協力しあえる、これこそ国際協力ではないかと勝手に思う今日この頃。

 

最後に、フィリピンで被害に遭われた方々のご冥福をお祈りします。

 

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