前回に引き続き、
日本は世界トップクラスの資源輸入国ということは周知の通りなんですが、私も子供の頃から「日本は資源輸入国」=「資源の乏しい国」というふうに教えられてきた。
たぶん、今でもそうなのかな。
けどね、日本はナーンにもない国か、というと、実はそうじゃない。
すぐそこに豊かにあるにも関わらず、自ら捨ててきたという方が正しいかもしれない。
それは、日本の国土の7割を占める森林資源。
国土面積当たりの割合でいくと、なんと世界3位だそうだ。へーーー
確かに、昔から我々の生活は、木とともにあったと言っても過言ではない。
住宅に始まり、家具、食器類、そして、燃料も薪だったわけで、かつて木なくして生活はできなかった。
それが、近代、外から化石燃料が入ってくるようになると、それらの全てが化石燃料にとって変わり、さらに、木を切ることは環境破壊だ、という全く根拠に欠ける迷信が世間に浸透し、日本の林業は坂を転げるように衰退していった。
そう言えば、一時、飲食店などでも割り箸じゃなくて、プラスッチックとか金属系の箸が並べられるようになった時期あったな。資源を無駄にしない、というスローガンは正しいのだけれど、んでも、たった今鼻をかんだ2、3枚のティッシュのほうが、割り箸を作るよりも多くの木材資源を使っていたりするわけで。
こうした誤った環境問題意識と安価な外からの資源で、もともと100%だった木材自給率も、1970年代には45%、1990年代には28%に低下、今も20%前後というなんともジェットコースター並みの急落下をしておるのでございます。
木を切ることが環境破壊だと、森林資源に手をつけずに守ってきた結果が、世界3位を誇る森林被覆率の高さではない。残念ながら。
単に、我々がその資源を有効に使えず、世界の市場から取り残された結果にすぎない。
国産材を使うよりも、輸入材の方が安いという理由で、今や木造住宅で使用される建材もほとんどが外来もの。
こうして、丈夫な木材を作るための間伐もなされないまま、質の悪い価値の低い木材が、国土を覆うようになる。
1300年以上も変わりなく健在する法隆寺や薬師寺は、日本の檜。
単に歴史的建造物という域を越え、これほどまでに健丈な建材は他にあるだろうか、と改めて驚嘆するばかり。
かつて、(たぶん今も)良質な森林資源を豊富に持ちながら、それを自ら見捨て、木の文化さえも失いつつある我々の行為を愚行と言わずしてなんと言う。
久しぶりに、奈良、京都の旅に出たくなった。