独ライプツィヒに学ぶ「衰退都市」の回生

約750万戸。

2008年時点の我が国における空き家の数。

数字だけを見てもさっぱりわかりませんが、空き家率13.1%(過去最高)。つまり10戸に1戸は空き家ってことです。これ全国平均ですから、地方に行けばもっと高くて、山梨とか20%近い。

空き家問題については、以前から、やいのやいの言う声がありましたけど、そもそも的な問題があって、これだけツツイても焼け石に水。

 

さて、この空き家、日本だけではなく、先進諸国においては大なり小なり抱えておるようでございます。そう言えば昨年だったか、米国デトロイトは空き家どころか、財政破綻で街全体がゴーストタウンになってしまいましたな。かつてはGM、フォード、クライスラーの工場があり、米国主要工業都市でだったのが、自動車産業の衰退とともに街も衰退、終いには財政破綻に至った。

 

同じく、ヨーロッパきっての工業国ドイツでも、同じような過疎化現象が見られる。

久々にドイツの地図を眺めると、ああ、そう言えば、ドイツは東西分かれてたんだよね、って今更ながらに思い出した。

Lage_der_kreisfreien_Stadt_Leipzig_in_Deutschland

ライプツィヒは、かつて工業都市として繁栄し、首都ベルリンに次ぐ大都市であった。

しかし、第二次世界大戦後、東西分断で東ドイツに属すると、主要工業都市として存続しつつも、次第に衰退縮小していき、かつて70万人を超える人口は、今では約6割程度まで縮小してしまったそうな。

 

ライプツィヒは、一部の地域で2件に1件が空き家という、もはや街として成り立たないほどの崖っぷちに立たされる。

それら空き家のほとんどが、東ドイツ時代から放置されたもので、メンテナンスはおろか、生活必需のインフラ設備さえ、ままならないほどの荒れ放題。ほんと建物ってのは、人が使っていないと驚くべき早さで劣化荒廃してしまうのですな。

 

こんな具合だから、不動産市場は完全に麻痺というか機能せず。どこかの開発業者が纏めて地上げ(ドイツではなんて言うんだ?)して、再開発でもするような気配すらない。

というか、ドイツはもともと不動産流通が、さほど活発じゃないのだとか。持ち家率も50%以下。

へ?欧州トップの経済国なのに?

まあここが、日本と違うところなんでしょうねえ。

普通に築100年、200年っていうレベルの建物がそこら中にあって、しかも建物の資産価値がしっかり認められている。公によってしっかりした造りの賃貸住宅が整備されてるので、みなそれに満足。不動産所有者も、特段不動産売買に興味もなく、買いたい人がいれば売ってもいいけどー、みたいな感じ。んなもんで、日本にいるような不動産仲介業者はいないらしい。

そりゃ、こんな調子じゃ、儲かりませんわなあ。

leipzig22

話がそれましたけど、不動産に対する考え方がこういう具合ですから、日本のように、高いお金掛けてリノベして、血眼になって入居者見つけて、投資回収に躍起になってる大家さんはいない。

しかし、荒廃していく建物は街全体を衰退させていく。市が取り壊すという話が持ち上がったとき、住民団体が立ち上がった。

 

古いものを大事にするという文化が根付いている欧州では、古いか否かでなく、建物そのものに価値を見いだす。

ライプツィヒも例外ではなく、これらの建物を守ろうと立ち上がった住民団体「ハウスハルテン」が考え出したのが、「使ってもらって保全しよう」ということ。

借り手は基本、家賃タダ。そのかわり、建物のメンテナンスや修繕をちゃんとやってね、という条件付き。

所有者は、自己負担なしで建物の維持管理ができ、借り手も家賃負担がない分生活費が助かる。双方にとってメリットあるプログラムなわけ。

今、ライプツィヒ同様の取り組みが、旧東ドイツに位置していた衰退都市で次々と行われているそうな。

 

「建物は使ってこそ価値がある」この考え方、日本の空き家にも使えないものだろうか、、と考えてみましたけど、日本は、そもそも古い建物に価値なんて見いださないから、保全しようって気にならないだろうなあ。とりあえず上物ありゃ税金安くなるから残しとこ、ぐらいにしか考えてないだろし。

建物価値を守ろうとか、街を保全しよう、みたいなプロバガンダ的なものでなくて、空室の場合は固定資産税率上げますよ、とかにしないと効果ないかもね。←なんか、ちっちゃいなぁ・・・。

 

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