真実はどこに?杭データ偽装事件に思う

 

うーん・・・しかし、だな。

なんでこう、ありえないことが立て続けに起こるのだろう。

これは偶然か、それとも必然か。

数日前から、紙面をにぎわせてる、横浜マンションの杭事件(敢えて事件と言う)ですけど、昨年も、同様の杭絡みの事件、同じ横浜でありました。

一瞬にして紙面から消えましたので、その後どうなったのか、応急措置で補強杭を打つだのどうだの・・・詳細は分かりませんが。

こう立て続けに起こると、こういうことってよくあることなの?って、誰しも率直にそう思うでしょうけど、少なくとも建築業界の間では、皆、口を揃えてこう言います。

「ありえない」

 

前回の三ツ池の杭不達のパターンは、支持地盤の想定外の落ち込みがあったとかいうことらしいですが、今回のパターンは、供述をつなぎ合わせていくと、支持層に届いていたのかどうかわからないまま、現場でそれぞれのデータがわけわかんなくなって、適当に転用して報告したと。(まだ情報が錯綜していて確実なことは何とも言えないところがありますが)

まあね、あんだけの規模なら、杭も相当の数ですから、どれがどれだか、わけわかんなくなるでしょうね。不達だけでも70本?だからなあ。(でもありえんけどな)

 

掘削重機オペレーターと、データ作成担当者が二人一組で現場に当たる。計測器のスイッチを入れ忘れたとかで、報告データに困ったデータ作成担当者が、適当にデータを転用したらしい。

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んでもね、掘削重機オペレーターは、掘ってて硬い地層に到達した時は、それなりの抵抗があるから、仮に計測器がなくても、すぐわかるんだよ。

だから、支持層に届いてないところで掘削をやめるって事自体、ありえない話なわけ。普通ならね。

そういうわけで、今回のは、単に施工不良ってものではなくて、事件的な要素があるんじゃないかと。

 

事件といえば、建築業界がひっくり返った姉歯事件。

かれこれ、10年になります。

早いものです。

今回の件、ワタクシ、これに匹敵するくらいの重大事件と考えております。

構造体は、できてしまえばわからない。特に杭なんて、地中奥深くに埋められるわけですから、一生目にすることはない。いわば、実際に作る人間しか、適正に作られているかどうかがわからない。

たまたま今回は手すりのズレで発覚したこの不正も、もしかしたら、そのまま一生、わからない結果に終わっていた可能性もあるわけです。基準を満たしていない構造体に「何かが起きる」のはあくまで可能性でしかなく、我々は結果論としてしか語ることができない。

まあ、大したことはないだろうし、わかんないだろう、という彼らの心情は察しはつかなくもないが、さりとて、一寸たりとも許容の余地はない。

 

しかしワタクシ、どうも、腑に落ちないところがあってね、どうして彼らが途中で掘るのをやめちゃったのだろうかって、不思議でならないんですよ。

記述の通り、掘ってれば硬い地層に到達したかどうかってのは、計測器に頼らずともわかるわけで、なんで、わざわざ彼らがそんなリスク冒すかね?

報道見る限りでは、会社は知らなかったみたいで、現場担当者らが単独で不正をしたようですけど、だとしたら、よほどの素人さんだったか(だったら二人であれだけの大規模現場任せないハズ)、途中で嫌になって、適当にやっちゃえ、って?(それこそありえんだろ)

作業が予定どおり進まず、会社や元請から怒られるのが怖くて、適当に手を抜いて順調に進んでいるように見せかけた?

まあ、上下関係の厳しい業界だから、それは考えられるかもね。特に、元請下請け孫請けの系列で連なる建築業界では、元請から嫌われると、もう次からはいいよってお声かからなくなるわけだ。それこそ死活問題に関わるから、失敗は許されない。

でも、今回の杭施工会社、親会社は大企業の旭化成だし・・・死活云々ってものじゃないし。

謎なんです・・・実に謎なんです。

 

もう、ずいぶん昔の話ですけど、構造設計屋さんと一緒に杭打設現場に立ち会ったときのこと。

掘ってても予定どおりに支持地盤が出てこないんですね。

その場にいたみんなで困ったね~って。当然設計以上の杭長になるわけですから、追加コストかかるわけです。んで、その日は打設をやめて、一旦保留にしたことがあります。

 

もし今回の件が、追加コストの話に絡むなら、会社として不正にかかわったんじゃないかって・・・、まあ、あくまで憶測の話ですけど、でも、彼らの供述だけでは、謎が多すぎるんですよ。

 

販売元の三井不動産は、早々に建て替えの案を打ち出し、住人の安全を最優先に考えているところには好感が持てます。が、現実問題として、新築よりも困難な建て替えが果たしてできるのか、と未知数なところが多いのも事実です。

 

こうした事件が起きるたび、我々は背筋の凍る思いをするのですが、今回の事件、どこか社会の生ぬるさを感じております。

姉歯事件、もう記憶も薄れつつありますが、それでも当時の、マスコミの叩きようはすごかった。

次第に個人攻撃に発展し、それは姉歯氏のプライベートまで及び、しまいには彼の奥さんの自殺につながった。

それに比べて、今回、どこか生ぬるさを感じているのはワタクシだけでしょうか。

 

以前、田原総一朗氏が、東芝の不正会計問題について、こう指摘しています。

「VW不正事件を徹底追及するドイツ、一方、大企業に甘い日本、何が違うのか?」

つまり、検察も、メディアも「叩きやすい」ところを叩くと。

 

企業ぐるみで不正を犯した、と断定しているわけではない。ただ、姉歯事件の時はあれだけ徹底的にやったのに、なぜ、真実をもっと追及しようとしない?

ワタクシのような素人が考えても、謎に思える供述に、なぜメスを入れない?

叩きやすいところだけ叩き、視聴率が取れそうな話題だけ持ち上げるだけで、真実を追及する姿勢ない限り、同じことは繰り返される。

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