ども。
世間は長いお休みのようでしたね。
えー、外が静かなんで、そうなのかと。
冬眠しているクマではありませんけど、
連休前にドサッと資料送りつけて、じゃ、よろしくって
あーた、そりゃないでしょ、とブツブツ言いながら巣に籠もっておりましたとさ。
そうそう、クマといえば、これ。
目ん玉が二つ飛び出したような。
先月、たまたま仕事で行った先、エントランスに入ろうとした瞬間、ふっと遠くの視界に入ってきた。
おー、知る人ぞ知る、(って業界じゃ結構有名)M2ビル。
そう、ザハさんに代わって国立競技場の設計することになった、
あの隈さんの、ホント初期の頃の作品です。
いやー、こうも変わるもんかと、久しぶりに見て思いましたよ。
最近はもっぱら木にこだわってて、「和」テイスト一色ですやん。
同じ人が設計したものとは思えんわ。
M2って、2つ目のマツダっていう意味らしくて、そうあの自動車メーカーMAZDAのビルだったんですけど、いつの間にやら、葬儀屋さんに変わってしもた。ナームー。
さて。
先月の熊本地震で被災された方々、心よりお見舞い申しあげます。そして救援活動を続けていらっしゃる方々、心より敬意を表するとともに感謝申し上げます。
先日、仕事の関係者が熊本を視察された様子を、写真を交えてレポートして下さったので、簡単にまとめておきます。(なんと、彼は北海道の建築屋さん)
先に断っておきます。
あくまで、「建築的視点で検証した場合」ということを大前提としてますので、少し不謹慎な表現になるかもしれませんが、ご了承ください。
まず、建築的に「倒壊」とは、ベシャッと潰れた状態を言います。つまり、建物が潰れて、中にいる人が逃げられない状態。
基本的に建築基準法の考え方は、建物が損傷しても倒壊せず、中にいる人が逃げ出すことができること、つまり生命の安全を確保することを前提に構造設計がなされます。
そういう意味でいうと、倒壊もしくは崩壊した被害というのは、彼曰く、思った以上に深刻ではないという印象だそうだ。(もちろん、大小様々な損傷はありますし、被害に遭われた方々の心情はお察しいたします)
各メディアが写真や映像を流している光景は、確かに悲惨なものですが、あの光景がダーっと一面に広がっているのではなく、局所的にあるのだという。
ベシャッと潰れている家の隣は、全く健全な状態で残っていたり、マンションの1階のピロティが完全に潰れている写真、大々的にニュースで流れてましたけど、同じ通りのスーパーとかコジマ電気の建物、シャンと建ってましたと。
んで、倒壊した建物の場所を、今度はGoogle Earth で見てみる。
震災前の健全な姿を見ると、明らかに「これじゃ壊れるよね」と思える形状のものがほとんどだったそうだ。
阪神淡路大震災が火、東日本大震災が水によって、膨大な被害に拡大したのに対し、今回は、「壊れるべくして壊れた」(不謹慎な表現ではありますが)被害だったと。
例えば、木造住宅の場合、一面方向だけ極端に壁が少ない(どう見ても筋交い入ってないよねっていう形)、1階が潰れたアパートも、玄関扉や窓など、開口部ばっかりでその面にはほとんど壁がない。
ピロティが潰れたマンション、そもそもピロティって壁のない構造ですから、それなりにブレース入れたり柱や梁を大きくしたりしなきゃならんわけですが、旧耐震時代のものだと、そこまで強くはない。かなり古いものだったので、おそらく旧耐震時代のものだろうって言われてましたけど、もう、見るからに典型的な潰れ方してます。
あと、どうにもこうにもバランスの悪い形してるとか。
もちろん、建物だけの問題ではなく、その場所の地盤の強さも大きく影響してきます。ただ、やっぱり、隣が無事でそこだけ被害が大きいとなると、明らかに建物の構造的な問題です。
耐震基準としてよく引き合いに出されるのが、新耐震と旧耐震。
1981年以降、現在は新耐震基準(稀に起きる大地震(震度7程度)で倒壊しない程度)ですけど、木造戸建てに関しては、実は、阪神淡路大震災後に行われた2000年の改正基準も耐震性を大きく左右する。
ここでは、地耐力によって基礎形状を定めたり、金物の仕様なども規定、耐力壁のバランス配置にも言及している。
新耐震でも壊れたって大きく報道されてましたけど、多分ここら辺の差ではないかと。
結論として言えることは、すごく単純な、すごく当たり前な話ですけど、旧耐震時代(築35年以上)のものは、きちんと耐震診断して耐震補強しましょうよ、ということ。できれば、2000年(平成12年)以前のものも何かしら手を打った方がいい。
当たり前ですが、壊れます。
うちはぶっとい柱使ってて、でっかい梁だから大丈夫、ってな次元の話じゃありません。
マンションは、一人で決めるわけにはいきませんから、ちょっと厄介ですけど、旧耐震時代のもので、ぱっと見、複雑でアンバランスな形してたら要注意。1階がピロティで壁もなく、ダーっと駐車場なんかになっていると、高い確率で潰れます。
コンクリートです。重いんです。当たり前ですけど。
もちろん、ここに挙げたものがすべてではありませんし、すべての崩壊が建物の要因とも言えません。
それでも、逃げて「生き残る」確率を考えた場合、明らかにその可能性は高くなり、100%保障できない自然現象に対して、自分で自分の身を守れる最低限のことだと思うのです。
所々、不適切不謹慎な表現があったことお詫びいたします。