軽井沢の別荘

このところ、どうしたわけか地方への出張が続き、もともと地味~な仕事をしているワタクシにとって、一週間に立て続けに新幹線に乗るなんて、スーパービジネスパーソンか何かにでもなったような錯覚を覚えるものの、そんでもシャキッとしたビジネススーツを着ているならまだしも、いつも通りの作業服スタイルでは、イマイチ代り映えもせず・・・、ま、それでいいんだが、旅好き乗り物好きのワタクシにとっては、仕事であっても、それなりにウキウキ、新幹線カッコえ~~なぞと、はしゃぎ楽しませて頂きました。

 

その中で、異質な存在であったのが、軽井沢の別荘だった。

別荘というか、リゾートマンションですな。

バブルの時代、軽井沢のみならず、伊豆、沖縄などでも、こぞってリゾートマンションなるものが出没し、富裕層のセカンドハウス所有欲を満たしていった。

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そう、別荘と言えば、富裕層が持つもの。

まあ、一般的にはそうだ。

もちろん、ワタクシには、縁もゆかりもない代物でござるよ。

今回のご依頼者は、首都圏にいくつもの不動産を抱えている、いわば不動産投資家と呼ばれる類の方でしたけれども、ご自身のセカンドハウス購入をお考えでございました。

「投資用物件なら勢いで買っちゃうけど、自分が使うものは、やっぱり慎重になるよね」

へえーー、そんなもんですかね~。

 

とはいっても、今回の物件は築5年、ほとんど使用した形跡もなく、そんでもって無人時の管理も徹底されていたようですから、新築同然のコンディション。特段に劣化も不具合もない。

リーマンショック前に計画が持ち上がり、出来上がったときはその後のどん底時期。

従って、室内は贅を尽くした造りになっているわけですけれども、貧乏性のワタクシにとっては、コレだけのものを、年に数回しか使わないってのは、なんとももったいないな~~と、つい貧乏臭い考えをしてしまうわけであります。

 

別荘の存在って何だ?

生まれてこの方、別荘のある生活とは無縁の人生を送ってきた自分にとって、別荘と聞けば、極一部のお金持ちの欲求を満たすもの、ぐらいにしか考えられない。

確かに、それはその通りだろう。

ここ日本では、マイホームを持つのさえ容易いことではないのに、ましてやセカンドハウスなんぞ、人生ひっくり返っても持てるわきゃない。それが一般常識だ。

 

しかし、欧米その他世界では、そうそう珍しい話でもない。

彼らは、何も贅を尽くしたホテルライクな居住を求めているわけでも何でもなく、単に非日常空間の中で、充実した時間を過ごす場所を求めているのだ。

ウィークデイは、都会の雑踏に身を潜め、週末、田舎の別荘で庭いじりをしたり、料理したり、各々の「自由な時間」を過ごす。

こうした、ゆったりとした時空間を彼らは、こよなく愛しているようだ。

 

我々、現代人にとって、最も贅沢と言えるのは、高級ホテルに泊まることでも、高級レストランで食事をすることでもなく、自分自身に向き合える自由な時間を持てるかどうか、じゃなかろうか。

別荘とは、人間らしい生活を取り戻す場所、なのかもしれない。

 

その日の軽井沢は、雲一つない晴天だった。

9月半ばにしては、やや暑い、けれど澄んだ空気は、疲れた体に心地よく染みていった。

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