税金6倍、「空き家」の行く末

 

さてさて、ようやく来ましたか。

昨年度あたりから、関係各局ゴソゴソとした物音は聞こえておりましたけれども、「空き家対策特別措置法」。

そう、空き家の土地建物の固定資産税の減免措置をやめましょ、ということね。

だいたい、この減免措置、とにかく住宅が足りなくて、どんどん作らないとっていう高度成長期の1973年に制定されて、その制度がまんま40年以上も引き継がれ今に至っているわけで、情勢も全く変わった今もなお、この制度があること自体がオカシイ。化石か?

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現在、住宅が建っている土地の税金は、何にも建っていない、言わば更地の1/6。

オンボロだろうが、お化け屋敷だろうが、関係なく1/6。

 

固定資産税は課税標準額(お役所の台帳に、ここの土地はこのくらいの値段ですよって記載されている額)に対して1.4%。

この課税標準額が、住宅の建っている土地だと1/6に減免されるわけ。

首都圏なんぞ、狭小敷地だって億を超える土地なんてザラにありますから、仮に1億の評価額だとしたら1700万以下。

140万円の税金が一気に23万円ぐらいになるわけだから、そりゃ、ボロ家でも何でも残しとくわな。

 

が、今回の新たな法で、周辺地域に危害を加えるような家屋に対しては、この減免が適用されないことになる。

んで、そうなると、どういうことが起こるのか、って勝手に想像してみた。

 

いきなり、税金が6倍に跳ね上がるわけだから、そんならいらんわ、って不動産を手放す人が増えてくる。すると、市場に物件がどんどん出てくる。供給過多。んで、不動産価格の暴落。

まあ普通に考えれば、こんな筋書きでしょうか。

 

でもサ、そもそも、この空き家を放ったらかしている人たちって、税金が安くなるからっていう理由だけで放ったらかしているわけじゃないと思うんだな。

そこに住んでもいないわけだし、人に貸してるわけでもない。何の役にも立っていないのに、それでも少額とはいえど、税金を払い続けるって、普通あんまりないと思うんだけど。

不動産神話が終わったこのご時世では。

 

要は、売りたくても売れない、貸したくてもボロ家で借りる人がいない。というか、人に貸すためにそこまで手をかけてやろうとは思わない、けど、解体するお金もなんかもったいない気がする。

ってな具合に、にっちもさっちもいかなくなって、放ったらかしているって感じじゃないのかな。

 

ボロ家付き土地だと売れない。

地方や郊外にいたっては、更地にしても売れない。

ならば、税金を払わなきゃならん。

 

行政としては、ボロ家が周辺地域に危害を加えたり、犯罪の温床になることを恐れて、きれいに片付けてほしいと願っているわけですけれども、そもそも何で放置されているかを解明しないと、行政側の意図することは、何も効果なしってことになりかねん。

それこそ、6倍に増えた税金で、解体費用補助しますよ、とかないとね。

 

でも、個人の所有物の処理に、税金投入ってのも、なんか腑に落ちないよな~。

ま、治安の向上という公共の益と思えば、納得できるのかもしれんけど。

 

人口減少という社会的要因と、新しいものに価値があるという日本人の特異な価値観とが、現在、7軒に1軒という割合にまで空き家を増やしていった結果だと思うのですけど、まあ、建築畑の人間としては、空き家の中でも良質なものを、市場が高く正当に評価できる仕組みがあれば、もっと有効に残せるんじゃないかと思うわけでアリマス。

でも、新し物好きの日本人の性格じゃ、無理かな~

・・・と、ダラダラ、勝手に妄想を巡らしてしまいました。オシマイ。

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