カラカラ・・・カラカラ・・・
空耳?
先週から連日、外壁タイルの調査をしていると、耳にこの音が張り付いている。
先般の記事で、外壁タイル張りの方が建物評価が高いってことをちらっと書きましたけど、
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実は、外壁タイルはメンテナンスフリーではない。
昔は、確かにそう捉えられていた節があった。
タイル張りのほうが、建物のメンテナンスもラクだし、耐久性もいい、ってね。
が、今はその常識が反転しているのだ。
総戸数700戸を越す、巨大マンション。
一部の外壁タイルが剥離したことを受けて、管理組合は、当時の施工不備ではないか?と疑った。
で、全面的に調査となったわけだが・・・
いや、スゴいわ・・・。
タイルの施工方法には、湿式工法と乾式工法がある。
湿式とは、圧着モルタルなどを下地材として壁面に塗り、そこペタペタと張っていく方法。
乾式とは、専用のベースサイディングなどパネルを壁に取り付け、そこに引っ掛けて取り付ける方法。
タイルの剥離が問題視されているのは、前者の湿式工法によるものだ。
原因はさまざまある。
が、タイルが浮いているかどうかなんて、一見して分からない。
調べるには、打診棒と呼ばれる先端に小さな球がついた棒で、壁面をコロコロと撫でるように転がし、その音で聞き分ける。
んで、連日やってたら、その音が耳に張り付いたってことなんですが・・・。
7割がた浮いてますとね、そりゃ施工不良でしょ、と。
よく、売主側や施工会社が言い訳(?)的に使うのは、地震の影響で、とお決まり文句のように言いますが、確かにその可能性はゼロではない。
揺れによって、圧着モルタルとコンクリート面が剥離することはあり得る話だ。
が、半分以上浮いてしまうほどの揺れならば、躯体にもっと被害が出ているはず。
タイルの剥離が、建物内の廊下などであれば、その危害も限定的ではあるが、道路に面した外壁の場合、通行人に危害が及ぶ。
実際に、そういった事故が相次ぎ、法改定の措置が取られた。
建築基準法では、不当的多数の者が利用する店舗や病院、ホテル、劇場など、いわゆる特殊建築物と呼ばれる類のもの(共同住宅も特殊建築物の類)、そして事務所ビルは、それぞれ用途により異なるが、一定規模以上の高さ、延べ床面積のものは、3年ごとも定期報告が義務づけられている。
建物に付随するエレベーターや設備器機を定期的に点検する義務なのだが、そこに外壁タイルの打診調査が加えられたのだ。
湿式工法でタイル張りを行っている外壁タイルをテストハンマーで打診し、浮き状態を調査するというもの。
これ、メンテコスト、半端じゃないですよ。
総タイル張りなんかだと、3年ごとにウン百万かけて足場かけてやんなきゃならんってこと。
ま、ブランコ(ビルの窓ふき掃除やってるようなヤツ)でやる方法もあるけど、それにしてもバカ高いコストが定期報告のために飛んでいくってことになる。
んで、仮にぼろぼろに浮いてたとしたら、またその補修費用が半端でない。
一体いくらかかるんだ~と、めまいがしそうな状況に陥ることもなきにしもあらず。。
もちろん全部がそうではない。
規模が小さいものであれば、報告義務はないし、きちっとした施工がされていれば、なんら問題ないわけだ。
規模の規定は各自治体で規定しているが、東京都の共同住宅の場合だと、5階以上の建物で、かつ5階以上の階の床面積の合計が1000㎡以上。
だからね、なんでもかんでも「外壁タイル張りだから、いい」って評価は、ちょっとアブナイ。
しっかり物件を見て、調べて判断して下さいナ、と融資担当者さんにモノ申ス!