ここは、日本か?
と錯覚してしまうような住宅密集地。
軒を寄せ合うように立ち並ぶ住宅地は、雄大な大国カナダ、バンクーバー。
大陸西海岸、カナダのブリティッシュコロンビア州最大の都市だ。
温暖な気候により、世界中から人気を集める。
国内外から居住を求めて人が流入すると、不動産価格も急騰する。
典型的な住宅の価格は、72万1500カナダドル(約7000万)
んー、東京都心並み?
2007年からすると、実に25%の上昇。
(ちなみに、アメリカの不動産価格は26%の下落。真逆だ。)
バンクーバーの平均的所得約4万7000ドル(約450万)からすると、
そう易々と購入できる代物ではない。
今、バンクーバーの不動産価格は、地元経済から乖離してしまっている。
人口の流入とともに、住宅不足を解消する手段として、今までは高層マンションを建設していたが、最近では「付随住宅」を認可する方向へシフトしつつある。
「付随住宅」とは、自らの居住の家と別に、賃貸用の部屋など同じ敷地内に造られる住宅。
この方法は、バンクーバーのみならず、シアトルやワシントンなどの北米でも広まっている。
確かに、カナダやアメリカのような広大な国では、1区画が広い。
建蔽率を気にしながら法定ぎりぎり、敷地めいいっぱい使って建てる日本の住宅とはわけが違う。
ちなみに、日本では1敷地1棟が原則。
一つの敷地に、いくつも建物を建てることは原則として認められない。
都心への人口集中を緩和する狙いなのだが、これは反対に閑静な住宅街の環境が、騒音、車の渋滞、近隣トラブルで脅かされる危険もはらむ。
静かな居住地を求めて居を構えている人にはたまったもんじゃない。
何かを緩和する措置をとるならば、何かを規制する仕組みが同時に必要だ。
無秩序な開発や都市形成は、街を破壊する。
かなり昔の話だが、まだ学生のころ、ビクトリアを訪れたことあった。
同じくブリティッシュコロンビア州の州都である。
記憶はだいぶ薄れてしまったが、とにかくその街の美しさに、ただただ驚いた。
何時間も外を歩いても、飽きることがない。そんな印象だった。
バンクーバーはまた違った風景なのかもしれないが、あの美しい風景がなくならないで欲しいと願うばかり。