赤坂プリンス、通称赤プリ。
旧長銀ビル。
ソフィテル東京。
いずれも、高さ100mを越す超高層ビル。
そして、いずれも短い命でこの世を去った。
なぜ、短命のうちに姿を消すことになったのか。
赤プリは、建築家丹下健三による設計。
1983年に開業し、2011年3月に営業を終了、
2012年秋から解体が始まった。
寿命29年。
所有者の西武ホールディングスによると、
施設の老朽化や天井高2.4mの低さに加え、
ホテル事業だけでは収益が悪い、そういった理由から
新しく建物を建て替えることにしたという。
新しいビルは、オフィス、ホテル、住宅の複合ビルとなり、
従前よりもさらに大規模なビルに生まれ変わる。
旧長銀ビルは、旧日本長期信用銀行の本店として1993年完成。
日建設計による、高さ130mの超高層ビル。
ガラス壁で囲った吹抜け空間が特徴的。
長銀の経営破綻によって、空きビルとなっていたのを、
不動産ファンド会社が2012年末に取得した。
従前よりもレンタブル比を高め、収益性を上げるため、
本年度より解体工事を始め、17年春を目処に
賃貸オフィスビルに立て替えるという。
寿命19年。
上野公園の不忍池のそばにそびえ立っていた
ソフィテル東京。
設計は、メタボリズムを唱えた菊竹清訓。
1994年、法華倶楽部グループの「ホテルコジマ」として開業。
その後、フランスのアコーホテルズの所有となり、
ソフィテルのブランドとなった。
しかし、経営に行き詰まり2006年に閉館。
その後、三井不動産が買い取り、翌年解体。
跡地に30階建て分譲マンションを建設した。
実に、寿命13年。
何故に、これほどまでに薄命で消える運命になったのか。
未だに繰り返す、スクラップandビルド。
日本人の感覚は、どこか麻痺しているのだろうか。
いや、それとも不動産の宿命とでもいうのだろうか。
明日にツヅク。
本来ならば、ニンゲンさまより長寿命のはずが、
何故にそんなに短い命でこの世を去るのか。
日本人の平均寿命は、世界トップレベルと言えど、
こと建物に関しては、ワーストランキングを争うのではないか、
と思うほど。
物理的に、構造躯体は100年以上持たせられたはず。
設備についても更新のしやすさを考慮して設計された。
設計者や施工者の思いも空しく
物理的な寿命を全うする前に、消される。
昨日の記事で上げられた、超高層3物件とも、躯体の劣化が主な理由ではない。
躯体の耐久性
設備の更新のしやすさ、
そういった工夫をこらせば、建物を長持ちさせることができる。
もはや、こういった常識は通用しなくなったのだろうか。
経済的な理由や、建築主の計画変更や中断、
売買による所有者変更、
そういった理由で、建物としての機能を全うする前に
消えていく。
いかなる社会的な理由が生じようとも、
評価され続け、愛され続ける建築とは。
建築技術がスーパー級に発達するよりも前に
知るべきことがあるような気がする