このところの不動産市場の活況は、リーマン直前のころの勢いに達し、心なしか業界人の顔つきも穏やかに見えまする。
消費税増税前の駆け込みということもありますが、不動産価格の上昇期待が強い下支えとなっていることは間違いナイ。
それでもやはり、増税後の急激な需要落ち込みを懸念する声は少なからずあって、前回の3%から5%への増税後の光景がフラッシュバックするんじゃないかと気をもむ業界に向けて、国も、ならば、前回の二の舞にならんようになんとかしましょう、と対策を打ったのはいいのだが。
どんなに出来が悪くても、少し脳みそ足らなくても、人間ちゅうもんは、反省し学習して賢くなるんです。
全く学習しない大人ほどタチの悪いものはない。
国交省は、住宅金融支援機構が提供する長期固定金利型住宅ローン「フラット35」の上限を消費税増税後、撤廃する。
つまり、全額融資が可能になるということで、頭金なくても住宅が手に入ってしまう。
こういう制度を両手を上げて喜ぶのは、まとまった資金を持たない、どちらかというと低所得者層。
家は欲しい、でも頭金がない。
親が資金援助をしてくれるラッキーな人を除いては、せっせと貯蓄を貯めるか諦める。
米国で派手にやったサブプライムローンは、所得に対する借り入れが50%以上ある人でも割増利息を付けて融資をするなど、担保価値の上昇を目論んで、はなからどぶにお金を投げ込むようなことをやっていたわけですけれども、まさかそこまでの度胸はないとは思いますが、それでも貸し倒れリスクは上昇する。
全額融資に対しては、貸し倒れリスクを見越して、サブプライム同様に金利を上乗せするそうですが、まさにサブプライムの悲劇のシナリオがそのまま書き写しされたようでゴザイマス。
一応、期間を1年としているようなので、爆弾破裂まではないかもしれませんけど、これもすべて、今後数年に渡って、不動産価格が上昇し続け、経済もそれなりにうまく行くことが前提なわけです。
不動産価格の上昇を否定しているわけではないんですよ。
結局、ローンは借金なわけですから、ちゃんと返せる人ならマイホーム手に入れて幸せ訪れますけど、そうでなければ地獄です。
毎月毎月借金に追われ、生活は廃れ、家族の間もギクシャク。。
借金返済の為に、毎日身を粉にして働いて、マイホームを手に入れても、ちっとも幸せじゃない。
最後の悲劇は、返済不能でマイホーム没収。
こんなん、泣いても泣いても泣ききれませんぜ。
ま、悪い方向に考えればキリがなく、何にもできなくなってしまいますけど、マイホームを持つ本来の意味を忘れちゃいかん。
何度もいいますが、住宅ローンは借金ですから、無理があっちゃいかんのですわ。
借金を借りやすくするということは、同時に地獄に落ちる可能性も与えているということを、太田さん、忘れないでおくんなまし。
まあね、不動産市場が落ち込めば、私も業界人ですから、困ったことになるわけですけど、人を不幸に落し入れてまで、自分の糧を得ようとは思いませんなあ。