マンション傾斜について、かなり私的偏見に近い見解(かも)

 

えっと、もしかすると、スゴイ偏見かも知れないんですけど、住宅を購入される方が常々発する言葉の中に、違和感を覚える言葉がありまして、

「高い買物だから、何かあったら困る」というように、「高い買物だから〇〇△△××」

と、接頭語のように「高い買物だから」と付ける。

じゃ、安ければいいの?と、根性ひね曲がったワタクシは反論したくなってしまうのですが、まあ、そうは言っても、都内で買うなら、どんなに探してもウン千万はしますから、そう言いたくなる気持ちも分からなくもない。

 

で、この、なーんかスッキリしない気持ちを、見事に再発させてくれた記事に先週遭遇しまして、モヤモヤと気持ち悪い週末を過ごしたのであります。ハイ。

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横浜市のマンションが傾くという、建築業界ではかなり衝撃的なニュースだったわけですけど、気持ち悪さはこのニュースではなく、それに対して投稿された記事

結論として、大手なら何かあっても保証してくれる(資力がある)から、マンション選ぶなら大手にしましょう、と言っているのですけど。

 

度肝を抜かれましたわ。

いや、これ、シロウトの一般消費者とかなら気持ち悪くもなんともないんですよ。

筆者は「建築&住宅ジャーナリスト」と称し、日経アーキテクチュアの編集長の経歴もあるというから、私の頭上に「?」マークが10個くらい、ダダダダッと並んだわけです。

 

ところで、こうした杭の施工不良というのは、今マンション買おうか悩んでいる人にとっては、とっても悲しい事実かも知れませんけど、はっきり言って、打設してしまえば分かりません。だって、地中に隠れてしまっているわけですから。施工業者による報告だけです。

 

実際は、どうやって杭を打つかというと、まず「ボーリング標準貫入試験」といって、敷地の何箇所かを試験的に掘って地盤を調べるんです。

実際に土を採取して、どういった地層かということを調べるのと同時に、1m掘り込んでいく毎に地盤の固さをハンマー(おもり)の打撃回数で調べます。

で、N値(打撃回数)が50以上となる層が5m以上連続している層を杭の支持層とします。

構造設計屋さんは、このボーリングデータで、杭の設計をするわけです。

 

で、今回も議論されているのが、このボーリングデーターは、試験的に敷地の数カ所を行うだけであって、実際に杭を打つ場所全てで試験を行うわけではない。

なので、横浜のように地層が複雑に入れ乱れている場所では、ボーリングデータと実際の杭打設場所との地層が異なっていることだってあり得る。(そんなにしょっちゅうあるわけじゃないけど)

予定通りに掘ったけど、支持層出てこないね、って。

そういえば、昔、東京北区の現場で出食わしたことあったな。

 

ここでね、構造設計者や、(マトモな)デベの現場担当者は、実際の杭打設時に立会います。んで、ボーリングデータと実際の杭孔が違えば、当然杭の長さが変わってくるから、つまり、追加のお金がかかるわけですから、施工会社と施主(デベですね)との間で、協議されるわけです。

 

まあ、今回の現場がどうだったのかは、知る術もないですけど、考えられるのは、現場立会いもなく業者だけで、足らないの分かっててやっちゃった、か、立会いしてたけど追加のお金が惜しくてそのまま強行したか。

あ、ちなみに、この件で施工担当(熊谷組でしたっけ)の言い分としては、「想定外の」支持層の急激な落ち込みがあった、って言ってますけど・・ワタクシ、今までそのようなこと聞いたことないです。

だから、想定外だって言ってるだろ!って怒鳴られそうですけどwww

そんなことってあり得るんですか?誰か詳しい人教えて下さい。

 

今回の件は、杭工事のあり方だけでなく、行政側のチェック体制とか、現場管理体制など諸々の問題点を投げかけてくれたものとワタクシ、無精ながら思うのです。

だってね、マンション買ってそこに住む人は、全面的に(じゃないかもしれないけれど)その建築に関わった人たちを信頼して、いわば生活の安全を託しているわけですよ。

 

そんなわけで、「何か問題が起こる可能性が50%なら買うのやめなさい、20%ならいいでしょう」っていう話がナンセンスであるのと同じように、

「何かあった場合に」なんてことを語ること自体がナンセンスなわけです。

 

も一ついうならば、大手だから(資力があるから)こそ、事実を握り潰せる権力を持っていることも、忘れないで欲しいと思うのです。

(もちろん、全ての大手がそうだってことではないので、誤解なきよう。。。)

モノを造るのに大手も零細も関係ありません。

全ては作り手の「心」です。

 

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