都心に限らず、地方でも超高層化が進んでいるらしいですが、なんでしょうね、やっぱり空高くそびえるスカイスクレイパーは、どこか人の心に夢や希望をもたらす力があるのでしょうか。
もちろん、世界各国見渡せば、日本のそれらを遥かに凌ぐ、スーパー級の超高層がいくつも出現しております。
んでもって、妙なことを思いつく人もいるもので、これらの超高層ビルと不況の関係を調べる研究なんてものがありまして、「高さ記録を更新しようとしている超高層ビルの建設中、もしくは完成後、経済が不況に陥る傾向がある」という法則を、1999年、独経済アナリストのアンドリュー・ローレンス氏が発表した。
なに、ただの偶然でしょ。ヒマなんですか?と突っ込みを入れたくなるような、半ばどうでもよい話ですけど、それでもやはり、ジンクスをチョッピリ気にする昭和生まれのワタクシとしては、ちと気になってしまったのでアリマス。
20世紀近代で追ってみると、
・ニューヨーク クライスラービル
高さ319m(完成当時世界最高)
着工1928年ー竣工1930年
⇒1929年、NY証券取引所株価暴落、世界大恐慌をもたらす。
時期を同じくして
・ニューヨーク エンパイアステイトビル
高さ381m(クライスラーを抜いて世界一に躍り出る)
着工1929年ー竣工1931年
⇒着工と同時に世界恐慌に飲まれる
さらに
・ニューヨーク ワールドトレードセンター
高さ417m(完成当時世界最高)
着工1966年ー竣工1973年(2001年のテロで崩壊)
⇒完成後、オイルショックが発生。
アジアでは
・マレーシア・クアラルンプール ペトロナス・ツインタワー
高さ452m(完成当時世界最高)
着工1992年ー竣工1998年
⇒建設中の1997年にアジア各国の通貨が暴落、アジア通貨危機発生。
・上海 上海金融センター
高さ492m(建設中の一時中断のため世界最高には至らず)
着工1997年ー竣工2007年(途中5年間の事業凍結)
⇒完成後、上海株式市場で株価暴落、翌年リーマンショック発生。
中東でも
・ドバイ ブルジュ・ハリファ
高さ828m (世界最高)
着工2004年ー竣工2009年
⇒竣工年の2009年にドバイショック発生。
そして、今、このブルジュ・ハリファを凌ぐ高さのスーパー級が、アゼルバイジャン・バクーに予定されている。予定では1050m、タワーを含む開発区域全体の完成は2020年から2025年にかけてとか。
さて、日本では、今年大阪に「あべのハルカス」誕生しましたけども、それ以前を見てみると、
東京都庁が「バブルの塔」と揶揄されてますように、完成と同時にバブル崩壊。
時期を同じくして、少し後の横浜のランドマークタワー然り。
ミッドタウンタワーも、完成翌年にリーマンショックに遭遇。
あべのハルカス、どうなんでしょうか、と気を揉んでも仕方ないのですが、そもそも、経済とこれらタワーとの関係って、ジンクスというよりも、必然的に重なるものだという見方ができる。
経済には、周知の通り、いい時もあれば悪い時もあって、好況・不況の波を繰り返す。
んで、その経済の循環と、タワーの建設工期が重なりやすい。
つまり、好況のときは、イケイケどんどんで、計画始めるわけです。だいたい、こうしたビッグプロジェクトは、話が持ち上がってから、企画、土地や資金の調達、設計から工事完成に至るまで、短くても数年、場合によっては10年以上も費やすことだってあるわけで、この間に、経済は循環しています。当たり前ですけど。
で、完成した時は、全く経済情勢が変わってたなんてことは、普通にあるわけですな。
まあー、至って単純明快な理論ですけれども、ちょっとオカルトチックな見方をすれば、超高層ができるたびに、何かが起きる!的なゾクゾク感も、我々を非日常的世界へ誘う、摩天楼のオーラなのかもしれませんなあ。
いつの世も、人類は天を目指し、高く昇ろうとすなり。