不動産市場、とりわけ中古住宅市場に大きな変化の波が見える。
国が中古住宅の評価手法を根本的に見直し始めたのだ。
このところ中古流通市場は着実に拡大しつつある。
年初からの景気上向き期待から、不動産売り渋みも相まって、全般的に供給過小気味、価格上昇へと繋がっています。
とはいうものの、欧米諸国と比較すれば、日本の中古市場なんぞ、比べ物にならないくらい極小市場。
我が国の不動産流通がいかに遅れた発展途上であるかが、よくわかる。
そんな発展途上市場に、国がやっとこさ乗り出した。
これまで、中古一戸建ての建物は20~25年で価値ゼロと見なされていた慣行を、築年数が経過しても、しかるべきメンテナンスやリフォームを行っているものについては、しかるべき評価をしようという試み。
そもそも、20~25年で価値ゼロという根拠は何もない。
強いて言えば、税法上の耐用年数が22年ということぐらいか?
特段の根拠なんてありゃしません。
具体的なものはまだ示されていないが、おそらく米国などで行われている手法が参照されるものと思われる。
従来の経年で一律に減価していた手法から、建物の期待耐用年数を算出する手法だ。
期待耐用年数とは、建物がその使用目的に適応して、充分に使用目的を満足できうる年数。
既存建物について、あとどのくらい期待耐用年数があるのか、それによって価値を判断しようとするもの。
実際の築年数に対し、評価員が事実上の築年数を決定する。
例えば、実際は築20年であったとしても、建物コンディションがすこぶる良く、またリフォーム等で機能が向上していたりすると、事実上は築10年ということもある。
もちろん、その逆も然りだ。
すると、例えばトータルの期待耐用年数が50年だとすれば、
残存期待耐用年数は、40年。
この残存期待耐用年数が多いほど、高い評価になる。
簡単に言えば、建物の「質」をしっかり評価するぞ、ということ。
まー、至極当たり前のことなんですが、不思議とこの不動産業界には、そういう慣行がなかった。
おそらく、こういった評価手法が確立されていくものと期待されているのだが、一方マンションはと言えば、も少し事情が変わってくる。
マンションは、周知の通り、専用部分と共用部分とに分かれていて、区分所有者が売買する専有部分だけの判断では不十分。
建物としての残存期待耐用年数は、共用部分のコンディションに大きく左右されることから、管理組合の運営状況など、管理の質が問われる。
以前も、中古流通市場の活性化にには、建築・不動産を管轄する国交省だけでなく、融資を決める金融庁の後押しが必要だと述べてきました。
「正しい不動産の価値を作るのは、不動産業会よりもむしろ金融業界だという話」
今までそっぽを向いていた金融庁も、ようやく重い腰をあげ、オブザーバーではあるものの検討会に参加している模様。
お願いしますよ、麻生さん。