ホームインスペクションという言葉がある。
文字通り、家の調査ということだが、欧米では不動産売買のときには当たり前のように行われる。
欧米では、家を買うということはほぼ中古を意味するから、建物に不備がないかを事前に専門家にチェックしてもらうというやり方が主流だ。
日本においても、そういった流れが浸透しつつある。そして、国もそういった不動産取引をバックアップしていこうと、このたびインスペクションガイドラインを公表した。
わざわざ、国交省がこういったガイドラインをつくったというのも滑稽な話だが、その意図はインスペクションが単なる見せかけにならないように、ということ。
前回のエントリーで述べたように、不動産業界というのは、それはそれは、パラダイスなわけですよ。
バックマージン天国の不動産業界では、業者間の癒着で仕事が回るということがフツーにあって、んでもってそこには、エンドユーザーである顧客目線は存在しない。
国交省が定めたガイドラインは、インスペクションの第三者性を強く主張するものである。
つまり、調査をする者(インスペクター)は、いかなる業者とも癒着してはならないというもの。
人間というものは実に弱いもので、意識せずとも、自分に利害が及ぶことに関しては、極力利に向くように行動するものである。
例えば、建物の寿命に関わる不具合が見つかったとしよう。雨漏り跡があったとか、コンクリートの爆裂があったりとか。
それを報告したならば、取引が破談になるかもしれない。
インスペクターと仲介業者が親密な関係であれば、それを恐れてその事実を報告しないようにする。はたまた、仲介業者から強要されて、事実を曲げて報告する。
いったい何の意味があるのか。
被害を被るのは、顧客である。
こういうお手盛りインスペクションを禁ずるために、国が指針を示したということは、不動産業界にとっては、一筋の光かもしれない。
似たような話で、よく工務店やリフォーム会社が、リフォームの際にお部屋を調査します、といってリフォームの提案をすることがあるが、それってどうよ、と穿った見方をしてしまうのは、ひねくれ過ぎだろうか??
でもね、素直にいうけど、もし私がリフォーム会社の立場なら、どうでもいいことをさも大げさに、あ、ここ直した方がいいですね、なんて言うかもしれない。悪意ではなくて人間の心理としてね。
そんなことしたら、不動産が売れなくなる?工事の受注がなくなる?
そう思う貴方、その思考に顧客の利はありますか?