ここにもスラムは生まれる、人も建物も老いる日本

 

約600万。

これは、全国分譲マンションのストック数だ。分譲なので、一棟賃貸マンションやアパートの類は含まない。

これを多いとするか少ないとするかは今後の人口にもよるのだが、年々の人口減の現象をみれば、明らかに余剰状態だろう。

 

それよりも問題は、国が高齢化問題で頭を抱えているのと同様にこれらのマンションも高齢化の一途を辿っているという事実である。

築30年超のマンションは100万戸を越え、ちょうど耐震基準が変わった1981年以前に建てられたものは約106万戸。(平成22年末時点なので、今はもう少し増えていると思うが)5~6戸に1戸は、築30年を超える高齢マンションということだ。

そして、当たり前だがその数は年々増加する。

but0065-001

驚いたことに、そういった高齢化マンションの住人は、過半数が60歳以上。

60代はまだまだ現役で、彼らを高齢者と呼ぶのは失礼かもしれないが、人も建物も、足並み揃えて高齢化の道を歩んでいるという実態だ。

 

分譲マンションというものは、各住人の所有物である専有部分と住人みんなで所有する共用部分とに分けられている。その共用部分を維持管理してくために区分所有者(=専有部分所有者)で管理組合が形成され、区分所有者は必然的に組合員となるのだが、一般的には外部の管理会社に委託している。

が、老朽化マンションの住人たちは、往々にしてその管理に関心がない。管理費や修繕積立金の滞納なんてのもザラにある。んなもんだから、管理会社も委託できず、日常の清掃はもちろん、修繕をしなければならないところもほったらかし、という具合で、一気に老朽化が進む。

若い人たちは、新しいところへ移りすむこともできるが、子供も独立し、後は日々気ままに過ごせればいい、という高齢者たちにとって、少々ガタががあろうが、とりあえず生活できればいい、そういった考えから管理には全く興味を示さない。

 

彼らの気ままな生き方を否定するつもりはない。

が、そうしたマンションがスラムを形成し、地域の安全を脅かすものになってはならない。

住宅取得者に補助金というのも結構だが、自治体や地域ぐるみで取り組まない限り、こうしたスラム化する老朽化住宅はなくならないのではないか、と思う。

 

Please follow and like us: