自宅を担保に老後資金を調達し、死亡後に自宅を処分することで一括返済できるという仕組み「リバースモーゲージ」。
住宅ローンの逆バーションみたいなもんです。
実は、日本でも30年以上も前にその仕組みは作られていて、武蔵野市が自治体としての初導入したのを皮切りに、各金融機関が取り入れた。
が、バブル崩壊後の不動産価格の下落で、融資側が背負う3大リスク、「不動産価格下落リスク」「金利変動リスク」、「長生きリスク」、が一気に膨らみ、この制度の活用は減少していった。
という背景があるのだが、ここにきて、再復活をさせようとする動きがある。
高齢者が増え、若年層が減っていけば、公的年金が逼迫するのは至極当然で、増大する社会保障費を、口あけてあんぐり眺めているだけでは、どうにもならん。
ということで、将来支給されるかどうかもわからない、雀の涙ほどの公的年金を補うことができれば、ということなのだが、生活費充当のために毎月受取れるタイプもあれば、ケアハウス入居資金のために一括で受取れるタイプもある。また、バリアフリーリフォーム費用に当てることも可能だ。
となると、問題になるのが、不動産の担保評価だ。
一体いくら借り入れできるのか。
今の日本の制度では、評価額ほほぼ土地価格。
そもそも借り入れ条件が「土地付き一戸建て」ですから。
マンションの区分所有や借地権の戸建てはダメ。
なんだそら??と思うでしょうが、それが日本の不動産市場なんですわ。
ここが、欧米諸国との大きな違い。
欧米諸国でもあるんですよ、この制度。もちろん。
でも、日本よりも遥かに普及しているのは、建物評価をきちっと出しているから。
評価が土地価格で決まるなら、高齢世帯が多い地方都市での活用は、期待できませんよ。ま、田舎の方は1区画がバカでかいから、それでもある程度の資産になるのかもしれませんけど。
んで、日本の官僚もバカじゃない。
実はこの建物評価のベースとなる仕組みが国交省でできつつあるのだ。
「インスペクションガイドライン」
建物検査の方法や手順、検査項目、消費者に開示すべき情報の あり方など基礎的項目を取りまとめたもの。
また同時に、「中古住宅の流通促進・活用に関する研究会」では、適切な 建物評価のための環境整備などを金融庁をオブザーバーとして検討している。
建物が適切に評価される、そうした市場が成熟するならば、このリバースモーゲージも、意味あるものになるのだろう。
年金代役を期待したい。