日本の美学

 

古来より、日本では禊(みそぎ)が行われてきた。

禊(みそぎ)とは、身濯(みそそぎ)という語源から来ているともされているが、「身に罪やけがれがあるときや、重大な神事を行う前に川や海などで身を洗い清めること」。

つまり、古代の人々は、体を水で洗うという行為に、単に身をきれいにするというだけでなく、心をも清めるという精神的な意味を見い出していた。

 

洗い清めることを高い精神的行為と捉えていた古来の人々の考えは、今に受け継がれる。

水でなくとも入浴はその行為の一種とも言えるし、人間の体だけでなく、家屋を洗い清める「掃除」も日常的な禊(みそぎ)と言えるかもしれない。

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もともと日本人はきれい好きとも言われていますけど、朝、往来を掃く光景や家の廊下を雑巾がけするなんて行為は、子どものころから日常的に目にしていたし、また学校でも日課として、放課後や昼食後、毎日掃除をしていた。

んなもんで、敢えてきれい好きと言うよりも、清める行為が日常生活の中に自然に溶け込んでいた。

そう、掃除は日本の文化なのだ。

 

そして、おなじみ、この時期ならではの大掃除も、日本に根付いた風習の一つ。

「年末の大掃除」、たぶん、他国ではあまりないんじゃないかと思う。

実は、この「年末の大掃除」も、元をたどれば、平安時代に宮中で行われていた「煤はらい」に行き着く。

一年のうちに溜まった埃や煤をはらい、歳神様をお迎えして新年を祝う、そんな宮中行事の一つだった。

それが、一般庶民にまで広まったのが江戸時代。

当時は、12月13日が煤はらいの日とされていた。

正月を迎える物忌みが始まるのが13日だったという説がある。つまり、正月を前にして暦の凶日による災いを避けるため、一定期間身を清めて家に籠る最初に日に煤はらいをしていた、ということらしい。

 

まあ、現代では13日なんてまだバリバリ仕事してますし、年末の前にクリスマスなんて舶来の行事のほうで盛り上がって、今ではホントに年末の29日とか30日辺りではないでしょうかね。

ということで、ワタクシも、イソイソ新年を迎える準備をせねば・・と。

普段グータラほったらかし状態でありまして、どこから手をつけるべきか・・計画的にやんないと年内に終わんないじゃないかと。(どんだけじゃ)

 

いやでもね、毎年思うのですけど、家中をきれいに磨き、洗い清めていると、確かに心の中まで清められている、そんな感じするんですわ。いろんなしがらみや邪念なんかが、きれいスッキリ洗い流されるような。

 

凛とした美しさに日本の美学を見い出すのは、清める行為が日本の文化になっているからではないかと思うのであります。

いついつまでも大事にしたい文化でありますな。

皆様、よいお年を。

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