若者の街は今

 

あ~、憂鬱な数週間に突入しました。

何が嫌かって、あの街頭演説と選挙車の後頭部にズキズキ来る音声が、ただでさえ片頭痛持ちのワタクシにとっては、文字通り頭のイタイ「害」でしかないわけでありまして・・あ、熱弁される候補者の皆様のお気持ちは、重々承知しております。ハイ。

が、なんというかね、前回も書きましたが、どうも白々しく聞こえるのは、たぶんワタクシだけではないでしょう。

結局のところ、政策がどうのこうの言っても、労働人口が増加しない限りは経済の回復は根本的に無理なわけで、要するに、若年層が未来に希望を持てない社会に、成長なんてあり得ないわけなんです。

 

昔、と言っても私が10代後半のころ(充分昔だな・・)、京都は10人に一人が大学生と言われていました。石を投げれば学生に当たる、みたいな。ホントに学生の多い、若者の街だったんです。

今はどうなのか分かりませんが、とにかく、人口比率でみて大学の数が多く、古都の名とともに、学問の街というイメージがあったのです。

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ところで、この京都という街、日本の古都というイメージが根強いのですけど、実は東京についで、住宅価格の年収倍率が高い街。

まあ、これは住宅価格と年収、相互の関係性によるものなので、一概に住宅の価格が高いとは言えないけれど、それでもやはり平均地価は、東京、神奈川、大阪に次いで、京都が4位にあることからも、古都という格式高いイメージが地位(「じぐらい」って読みます)の高さを保っていると言える。

地位の高い、それでいて学生の多い若者の街、もちろん、昔とくらべりゃ学生の数は減っているとは思うけど、そんな側面を合わせ持つのが京都。

 

さて、話は太平洋を渡り、米国においてこの京都に当たるのがボストン。

この街は、遥か昔に訪れましたけど、なんというか、アメリカらしくない、というと語弊がありますが、ヨーロッパ的ないい意味での古さが感じられる街でございました。

周知の通り、ここも学問の街。

ハーバードやら、マサチューセッツ工科大学やら、有名大学がひしめく街。そして世界中から優秀な若者が集まる学生の街。

なんと、ボストンの人口の1/3以上が20~34歳らしいですわ。

まるで新興国並ですな。

 

そんなボストンですが、やはりここでも、地位の高さかどうかは不明としても、毎年学生たちが押し寄せ、継続的な住宅需要により、家賃相場が高騰し、1ベッドルーム(日本で言う1LDKってとこでしょうか)平均2000ドル!!(約24万)

もちろん、学生がみな、こんな高額家賃の住宅を借りているとは思えないですけど、ここの若年層の年収が大体5万ドルぐらいらしいですから、年収の半分が家賃に消えるということになる。

こりゃ、ちょっと苦しい。

 

エリート(かどうかは分からんが)の彼らは、若年にしてなかなかの高収入を得ても、半分が家賃で消えてしまう現実では、自らの趣味や娯楽にお金を使うのもおろか、結婚も躊躇うようになる。

京都とボストンが、全く同じだとは言わないが、それでもどこかしら共通項の多い2つの都市で、現実として若者が生活を楽しめているのかというと、大きな疑問を持たざるを得ない。

 

言うまでもなく、お金だけが生活の充実感や満足感を満たしてくれるものではない。

しかし自らの将来を、特に日本においては、国や社会に頼ることはもはやできない、とほとんどの若者たちが感じているのは確かなことで、故に、何かにチェレンジする気鋭も、所帯を持ち一家を築く勇気も失われてしまっているのじゃないか、と思うわけです。

 

フランスは、同棲を法的に認めています。

正確には、民事連帯契約(PACS)といいますが、要するに、結婚しているカップルと同様に、様々な法的権利が享受できたり、税制優遇が受けられたりと、婚姻カップルとほぼほぼ同じような扱いをされる。

そうしたこともあってか、フランスの出生率は何年か前に増加に転じた。

それぞれ国の事情もあるでしょうけど、将来に対する安心感みたいなものが「生きやすさ」、ひいては新しい命を生み出すのではないかと思うのです。

 

話が少しそれましたけど、若者が集う街って、何かそれだけでエネルギッシュな力があると思うんだわ。

この貴重なエネルギーを未来永劫、ムダにしてほしくないなって、おばはんは思っとりますよ。

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