俗に「建築家」と呼ばれる人たち、ワタクシ、実はあんまり好きではない。
こういう言い方をすると、一部の熱狂的崇拝者からは非難ゴーゴー浴びるかも知れない。
お前がそんなこと言えたギリか?
アンタとは天と地の違いよ、と。
えー、まーそうなんですが(汗)
あ、天と地の違いで思い出した!
全然関係ないですけど、野田元首相がご自身のブログで、例の小渕大臣の一件について書かれておりましたけど、なんつーか、ちっちゃ。
まるで狐のしっぽを捕まえたかのように昔言われたことを言い返す、的な。。
人間の小ささが垣間見えてしまって、ホントにこの人が日本を代表する人だったのかと、正直落胆というより驚きでしたワ。
えと、話を戻しますが、
非難を覚悟でいうと、ワタクシ、世の名高き「建築家」と呼ばれる方々(何故か世の人は彼らを先生と呼ぶ)、正直あんまり好きではない。
いや、好きではないというより、さほど人には興味がないというのが正しいかもな。
でもね、一応ね、ナンだカンだ言ってもね、好きで建築始めたわけですから、やっぱり美しいものに出会うとね、ブルっと身震いを覚えることもあるわけです。
ここ日本においては、「建築家」という職業の歴史は浅く、そもそも設計士の存在価値すらあまり評価されていない我が国では、「〇〇という人が設計した建築」ということでその文化的な価値が認められることは、ほとんどない。
まあ、歴史が浅いから、文化的価値といってもピンとこないんだろうけど。
しかし、我が国において建築の歴史を築き始めた第一人者の生誕100年というと、それなりに刻まれているものを感じずにはいられない。
「丹下健三」という名前、建築に詳しくない方でも、一度は耳にしたことがあるのではないかと思いますが、昭和の時代、まさに戦後日本が大成長を遂げる時代を駆け抜け、日本の近代建築史を作り上げた人物の一人といってもよいでしょう。
しかし、彼らが手がけてきた建築の数々が、今存続の危機に晒されている。
それらの多くは、庁舎などの公共建築で、戦後の社会で真っ先に必要とされた施設。
古い建物は、老朽化が進み、しかも現行の耐震強度を満たしていない。
丹下氏が設計した香川県庁舎も、そうした理由で消滅の道を辿るのか。
少し前に、同じく彼が設計した香川県立体育館が、同様の理由で閉鎖されたことを受け、またもや、と建築業界に悲哀の空気が流れた。
近代建築の巨匠ル・コルビュジェの影響を強く受けたと思われる、その美しい佇まい。
しかし。
建築の自由を象徴したピロティのオンパレードでは、まず耐震性は望めない。
建て替えか耐震補強か。
県関係者の検討結果、今のところ補強路線が優勢らしい。
建て替えコストのほうが負担が大きいという結果になったというのもあるが、この庁舎の文化的価値を守ろう、そんな動きが県職員の中で強くなっているようだ。
ギャラリーを開いて、丹下建築にまつわる資料を展示したり、職員による庁舎ガイドツアーも無料で提供したりしている。
美しいもの。それは人の心に希望を与える。
それらが、永久に美しく、人々に親しまれるものであるためには、維持管理にお金がかかることも事実であって、その維持管理費の拠出に理解をえられないことも多い。
県職員たちは、市民に、まずその文化的価値を知ってもらおうと動き出した。
そう。
建築は決して一人で生き残るものに非ず。
いつも人と一緒に生きているもの。
まだ浅い我が国の近代建築史ですが、これから先、多くのストーリーがページに刻まれていくことを願うナリ。