いくら不動産業界が景気いいからって、まさかそんなノリで参入したわけではないとは思いますが、先月「世界のソニー」さんが不動産業界に参入してきましたなぁ。
我らが青春、ウォークマン(懐かしい・・)で世界を席巻し、次々と新しい商品を世に出してきた勢いは、かつてのジョブズ氏にも重なる。
そんな、恐れ知らずのソニーも、時代の流れに乗れなくなったのか、次第に影を潜め、ついに「VAIO」も手放した。もはや、ソニーもこれまで、、と思っていた矢先。
ニュース聞いたときは、ギャグ? と思わず耳を疑いましたけれど、まあ、ワタクシにはカリスマ経営者素質のカケラもありませんから、彼らの思惑を想像するなんぞ、到底できるものではございませぬが、それでも、ソニーの参入が、もしかすると不動産業界に風穴を開けるのではないか、と密かに淡ーーーい期待を抱いておるのでゴザイマス。
ワタクシ、建築業界と不動産業界の中間くらいの所におりますけれど、何が嫌かって、不動産業界の100年ぐらい時代遅れの旧体質にどっぷり浸った彼らと話をしなくちゃならんことだ。
いえ、皆さん、とても礼儀正しいですし、紳士淑女ですよ。でも何と言うか、そのー、独特の雰囲気があるんですわ。敢えて言うなら、
「越後屋、お前もワルよのう・・・」ていう、アレ。
もちろん、不動産業界の人たちがみんなワルってわけじゃない。
けれど、この古い体質というか慣習は、決して顧客にとって、益となるものでもなんでもなく、ただただ、不動産業界に生きる彼らが、外部から攻撃を受けることなく平穏無事に、商売しやすくするためだけのものに他ならない。
例えば、今回ソニー不動産が打ち出した、独自の仲介手数料体系。
通常、不動産業者が仲介手数料として受取るのは、紹介して成約した物件価格の3%+6万円(400万円を超える物件価格の場合)。
しかし、ソニーはこれを率ではなく、顧客が利用したサービスの量によって決まる定額制とした。
従来であれば、成約価格が大きければ大きいほど、不動産業者の報酬(手数料)も増えることになるわけで、不動産業者からすれば、高く売れてくれるほうが有難い。
ちなみに、3%+6万円というのは、最高額として受取ることが「できる」手数料であって、何もコレだけ貰わなきゃいけない、という法律ではない。
たまに仲介手数料半額割引とか、訳の分からんチラシ見ますけど、割引でもなんでもないのよ、社長。
で、これを、利用したサービスの分だけの一定額とすることは、仲介による成約価格はもはや関係なくなるわけだから、変に価格がつり上げられることもない。売主にとっては、高く売れたほうがいいけれど、それだけ高い仲介手数料を払うことになるわけでして。
も一つ、注目すべきは、原則両手取引はしない組織体制を構築している点。
えっと、「両手取引」ってのは業界用語ですけど、要するに売主、買主両方の仲介やって、両方から手数料もらっちゃおう、ってやつ。売り物件が出ても一般公開しないで、自分とこで止めておく。で、買主見つけて、コレどうですか?って紹介するわけ。
いわゆる物件の囲い込み。不動産取引のルールとして、問題視され続けていましたけど、誰もそれを口にする人はいなかった。
「両手取引はだめでしょう」なんて言おうものなら、「お前、そんなこといったら商売しにくくなるだろうが!!」ってなもんで、袋叩きにあうのが関の山。
しかしソニーは、米国式のエージェント方式を取り入れ、売却エージェント、購入エージェント、完全に組織を分けた。それぞれのエージェントは、売主、買主それぞれの代理人となって、片方からしか手数料を受領できない仕組みをとっている。
ソニー、ついに業界のタブーに切り込んだか!!
Way to go! Sony!
どちらが、顧客の益になるかは、言わずもがな。
いつまでも古い体質抜け切れない巷の不動産業者は、そのうちソニーの大波に飲まれちゃうかも。
ん~、やっぱりソニーはカリスマだったか。
我らが青春、It’s a Sony!