先週末、台湾南部で起きた地震は、日に日に死者の数を増やし続け、今現在65名。でも未だ不明者がいるらしく、なんか絶望的な。
速報で知った時は、ビルが7棟くらい倒壊したとか言ってたが、その後の映像とか動画見てみると、派手に崩れているのは、高層建築物(マンションらしい)。周囲の比較的低い建築物は、健全に残ってる。
なんか臭うよね、って思ってたら、すかさず日経アーキテクチュアさんがつついてきた。
あー・・・えと、小姑的に言うならば、手抜きってのはちょっと違うよね。
手抜きっていうと、やるべきことをはしょって、労を惜しむようなニュアンスだが、空き缶にしろ何にしろ、異物混入ってのは、やるべきことを「はしょる」もんじゃない。強いて言うなら、施工不良だな。もちろん、手抜きの結果、施工不良となることもあるけど。
ここらへん、専門誌らしく、きちっと使い分けて欲しいザンス。
まあ、いい。
それはそうと、この記事によると、この空き缶、飾り梁とか飾り柱用だから施工不良じゃないって、台湾の建築師公会(日本でいう、建築家協会みたいなもんか?)が言ってるらしい。
実は、1999年に起きた地震の時に、この空き缶が問題視され、今回も同じように空き缶が発見されたとか。
飾り梁とか飾り柱ってのは、要するに構造体ではなくて、意匠的なデザインでくっついているもの。
その内型枠用として、塗料などの一斗缶を使っているらしい。
確かに、崩壊した写真を見ると、綺麗に並んでおるわ。しかも丁寧に鉄筋で巻いてあったりする。
まあ、構造体じゃないなら、空き缶に引っ張り強度を持たせる必要はないだろし。
でもね、一斗缶ってスチールだよね、錆びるよね。
錆びるものを打ち込み型枠に使うって事が、NGだと思うんだがね。
日本でも、打ち込み型枠使われてます。大抵は、断熱兼用としてだから発泡系のものであったり樹脂系のものだけど。
なんで錆びるのがNGなのかっていうと、コンクリートってひび割れるでしょ、すると水が中に入るでしょ、すると、中の鉄筋とか鉄系のものは錆びる。
錆びが進行すると、コンクリートを破壊する。いわゆるコンクリートの爆裂ってやつ。
こうなったら、構造は致命的。
構造体じゃないからいい、ってもんでもなくて、飾りものにしても構造体とくっついていると、構造体に影響を及ぼさないとも限らない。
ひび割れだけじゃなく、打設状態悪いと、隙間だらけのコンクリートに仕上がっちゃうから、ガンガンに水入る。飾り梁とか飾り柱じゃ、バイブレーターもまともにかけられないんじゃないかと。
まあ、実際やったことないから、なんとも言えませんけど、しかしだな、アレコレ考えてもやっぱ、マズくない?って思ってしまうワタクシ。
んで、日経アーキテクチュアさんの結論も、「個別の物件ごとに議論すべきだろう」みたいな、なんか煮え切らない、尻切れトンボになってるし。(いつも思うのだが、この消化不良感、どうにかならんかと・・)
と悶々してましたら、なんと、こんなニュースが・・・。
あらら。
これ、本当だったら、地震こなくても倒壊するレベルなんじゃ・・
映像だけしか見てないけど、でもあの倒れ方は普通じゃないって思った。
建築が凶器に変わる瞬間。
建築に携わる全ての人に考えて欲しいと思う。
建築は人を殺す凶器にもなるんだってこと。
お亡くなりになった台湾の方々のご冥福をお祈りします。