伝統としての木造建築

 

数年前、いや、もっと前だったか。

とある会合に顔を出したとき、妙にすり寄ってくる怪しいオッサンがおりました。

しきりに話しかけてくるので、露骨に嫌な顔をするのもどうかと思いまして、とりあえず相手をしておりましたところ、江戸城の再建をどうのこうの、と切り出してきた。

全く意味がよくわからんかったが、詰まる所、そのオッサンの団体に加入しませんか、ということらしい。もちろん、断りましたけど。

半ば、上の空で聞いていたので、すっかり記憶から消えていたのだが、あの時のオッサンの団体、もしかしてこのNPOのことだったのかな?と記憶が蘇ってた。

 

数日前に、「江戸城再建に350億」という記事を目にしまして、その金額が高いのか安いのか、さっぱり見当付きませんけど、この再建構想を勧めているのが、このNPO

あのオッサンの団体がこのNPOだとすれば、今から思えば、この再建費用を集めるための勧誘だったのかなあ、という気もしないでもないですけど、NPOが寄付募って集められる金額でもなかろう。(アッサリ)

 

まあ、味気ない話はおいといて、改めて考えさせられたのは、実は東京には日本の伝統的建築物というか、歴史的建造物というか、そういうものが全くない。明治神宮は近代だし、強いて言えば浅草寺か?

日本で伝統的な街として思いつくのは、真っ先に「京都」。世界遺産の合掌造りだって岐阜県の白川郷だし、大阪、名古屋には天守閣があるのに、東京にはない。(名古屋城は、コンクリートで再建されているらしいですが。)

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これ、世界的に見ると、とっても珍しいことかもしれない。

ロンドンやパリ、ローマなどの欧州諸国の首都には、数え切れないほどの歴史的建造物があって(まあ、これらの都市は、街自体が歴史的建造物なのだけれど)、ギリシャやトルコなど、かつて大帝国を築き栄えた国の首都にも、必ず世界を魅了する建造物が存在する。

 

そう考えると、東京に来た外国人の観光スポットが秋葉原ってのは、なんともサミシイ。

いえ、秋葉原がダメってわけではないのですけど、ええ。あれはあれで、日本の文化といえるのかもしれませんけど、なんか違うよな、って思うのは古い人間なんでしょうかねぇ。

 

日本建築は、もとは中国大陸からやってきたものだけど、平安時代のころから次第に日本独自の形態が生み出される。

木造建築の計算され尽くしたような端正な美しさは、何もコンピューター解析をやってるわけでも何でもなく(当たり前だ、そんな時代にコンピューターがあるはずがない)、棟梁らの目と勘で築き上げられたもの。

 

今、江戸城を木造で再建するならば、(文化財ということで法適用外になりますので)法的には可能。しかし、そうは言っても一から造る場合、ヤレ消防だ、ヤレ耐震だって、いろいろとハチ面倒くさいこと、想像に固し。もしかすると、めちゃくちゃブサイクになるかもな。

 

でも、観光立国を目指すなら、首都東京に日本の伝統が感じられる建造物があってもよかではなかと?と思うのであります。

別に、寺とか神社とか城とかでなくてもよいので、端正な木造建築の美しさ(←これぞ日本建築の神髄と思うんだわ)を感じれるような。

 

そうだ!国立競技場、木造で造ったらどないですか?

無茶言うな!

いえいえ、だって難しい技術に挑戦するんでしょ。安藤さん。

コスト下がるかもな。