名前が変わるだけでは不動産業界は変わらないよ。意味不明の名称変更法案

 

あれーっ!!

マジ決まっちゃったの??

実にどうでもよいことを、この国のお偉いさん方々、貴重な?時間を割いて審議するくだらなさに、ちょっと唖然としました、ワタクシ。

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先月ごろでしたでしょうか。

「宅地建物取引主任者」を「宅地建物取引士」にするという法案が出されているらしいという噂を耳にして、何でソンナコト必要なの?名前なんてどうでもいいから、宅建主任者の資質をどうにかセイ、と思った次第でゴザイマス。

えっと、ここで補足しておきますと、国家資格と呼ばれるものの中にはいろいろありまして、「〇〇士」と呼ばれるものは、概ね「業務独占資格(資格がなければ、その業務を行うことが禁止されているもの、弁護士とか税理士等)」と「名称独占資格(有資格者だけが名乗ることを認められているもの(介護福祉士、技術士等)」に分類されます。

一方、「〇〇者」というのは、特定の事業を行う際に義務づけられている「設置義務資格」、つまり、その資格者がいないと、事業者として営業できませんよ、というもの。

で、「士」と「者」の使い分けについては、はっきりした定義はないようですが、格として「士」のほうが、位が高いとされている。

 

従って、今回の「宅地建物取引主任者」を「宅地建物取引士」に名称変更するということは、一応、資格として「昇格」するということなんですけど、資格試験とか、宅建業法そのものを見直すというならわからなくもないが、これらのものはそのままで、名前だけ変更するという意味が分からない。

「士」に変えたところで、資格取得者の資質が向上するわけでもなかろうに。

 

ちょっと驚いたデータですけど、平成18年度時点で、420事業分野で「不動産賃貸・管理業」の事業者数が約25.5万でトップ。「食堂・レストラン」23.5万、「医療業」23.3万を超える。

リーマンショックの時で随分減っているから、今はもう少し少ないかも知れないが、それでも多い。

石を投げれば不動産屋に当たる、ぐらいの勢いでしょうか。

 

で、この不動産屋に従事する宅建主任者は約20万。

さらに、ワタクシのような不動産屋に従事しない資格者も山ほどいるので、全国90万ほどの有資格者が存在するらしい。

 

が、残念なことに、不動産業者の違反件数が一年当たり400件近くあるそうな。勧告・指導も含めると、1000件。

不動産業者が、胡散臭いと思われる一因かもしれませんけど、それこそバブルの時代なんて、違反することが当たり前だった、何とも信じがたい業界というのは、あながち嘘ではない。

今でこそ、あからさまなことは減りましたけれども、いきなり営業電話してきてシツコク追い回したり、言葉巧みに投資の勧誘を仕掛けてくる巧妙さは、まあ、ある意味、凄い根性だわ、と違うところで感心してしまう今日この頃でゴザイマス。

 

基本、宅建主任者でなければできない業務というのは、取引の相手に重要事項の文章を説明するということなのですけど、コレ、単に読んで聞かせると勘違いしている輩も多いのではないかと思うのですが、説明ということは、相手に理解させるということで、ただでさえ、小難しい不動産用語が並んでいる文章を、噛み砕いて分かりやすく説明している宅建主任者、何人いるんでしょうかと疑ってしまうほど、契約後のトラブルというのは絶えないのでありますよ。

 

「士」という名称に変えるならば、有資格者としての「プロフェショナル性」と「倫理観」を携えるような資質を向上させる取り組みを考えてほしいものだわ、と有資格者でありながら、不動産業に従事しない者の勝手な意見でございました。

あしからず。。。