海外事業でのリベートは必要悪か

 

贈収賄は犯罪。

我が国において、これは誰しも疑うことのない常識として考えられている。

とはいうものの、競争社会で生き残っていくために、悪に目をつぶってお互いの便宜を図り「不正贈収賄」が繰り返される。

たぶんね、コトの大小問わなければ、日常的にというか慣習的に行われている業界もあると思うんですわ。

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それはそれとして。

ま、日本では贈収賄はNGということは基本概念としてありますけど、一歩外に出たらそれが常識として通用しないことも珍しくない。

よく聞くのは、社会システムが未整備の発展途上国や社会主義国。

企業がスムーズに事業を行うために、貢ぎ物の準備が当たり前と考えられていたりするわけで、要求する側もこれを当然のごとく申し出る。

海外展開をされている企業さんの中には、これをリスクヘッジのための必要経費、ぐらいに考えているところもあるでしょう。

 

確かに、それぞれの国の慣習ってものがありますから、いきなり外から入ってきた者が自国の常識を押し付けるのはどうかと思いますけれど、ただ、公の事業の場合はちょっとワケが違う。

 

ODA(政府開発援助)として鉄道建設コンサルタント業務を受託していた日本交通技術がODA協力事業社から排除された。

「海外でリベート発覚の日本交通技術、ODAから排除」

リベート供与先は、ベトナム、インドネシア、ウズベキスタン。

先方公社からの要求を渋ると、契約をキャンセルする、交渉を引き伸ばす、資料やデータを提供してくれない等々、嫌がらせとでも言えるような目にあう、だから必要な支出と割り切っていたという。

 

日本交通技術からすると、自分らは要求された側で渋々払わされていた被害者なのに、ODAから排除されるのは腑に落ちないところもあるやもしれん。

がしかし、ODAは国が行う事業である。法に抵触するとならば、国に報告をすればよいだけの話だ。

2008年にも、同じような贈収賄事件が別の企業で発覚し(これもベトナムだが)、外務省が「不正腐敗情報受付窓口」を設けた。

 

それぞれの国で、それぞれの慣習ややり方があるのは、否定しない。

けれど、競争原理を阻害する贈収賄は、その国の技術の進歩やサービスの質の向上には何の寄与もしない。

援助を必要とする国にとって、本当に彼らの財産となるものは、自ら進歩発展していく知恵なのだから。