終の棲家はいずこ

 

”人生、先のこと考えてもどうなるかわからん”

仰せの通り。

”ウジウジ、先のこと心配するより、今を懸命に生きなされ”

ごもっとも。

 

人生折り返し地点を過ぎるとですね、こういうワタクシでも、いろいろ考えてしまうことがあるわけでして、妙な空虚感に襲われることがあります。

とはいっても普段は、どうにかなるさの楽観主義、かつ全て自分に都合良く考える、まことオメデタイ人種でございます。

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さて、ココから真面目なお話ですが、先般、国土交通省が公表した「平成25年度マンション総合調査」。国交省は5年に一度、全国のマンション居住者(区分所有者)及び管理組合に、居住状況と管理状況、そして住人の意識調査を行っている。

なんでこんなことやっているのかというと、今後のいろんな政策を立てるための基礎資料とすることが主な目的で、平たく言えば、実体を掴むためのもの。

 

中でも、ここ10年ほどの間に大きく様変わりしたのは、マンション居住者の高齢化。

出典:国土交通省
出典:国土交通省

60歳代が31.1%、70歳代が18.9%。居住者の半分は60歳以上ということだ。マジ?

高齢化の一途を辿る我が国の人口構成をみれば、頷けなくもないが、それにしても10年前からすると20%近く増えていることになる。

 

んで、続いて見ていくと、永住意識に関する調査で、「永住するつもりである」が52.4%、「いずれ住み替えるつもりである」が17.6%。

出典:国土交通省
出典:国土交通省

これか!

つまり、マンションが「終の棲家」となっているわけだ。

 

これは昭和、平成初期の頃と比べると、大きな意識の変化かもしれない。

ちょいと昔は、就職して所帯をもったら、とりあえずマンション住まい、んで、いずれは一戸建てが人生のゴール!なんて、何となくそうした人生のステップみたいなものが一般サラリーマンの頭にあったと思うのですけど、もはや「いずれは一戸建て」というゴールはなくなったということらしい。

 

まあね、長年マンション住まいに慣れていると、その便利さに慣れてしまって、やれ修繕だ、やれ交換だのと、一戸建ての日常メンテナンスの煩わしさを思うと、今更って気持ちになるのも無理はない。逆に、一戸建てに住んでた夫婦が子供の独立や夫の退職をきっかけに、マンション住まいを選択するケースもある。

 

こうしたマンションの高齢化は、一方で深刻な問題を生み出しているのも事実。

分譲マンションでは、その部屋の所有者になると、必然的に管理組合の組合員になる。管理組合という組織は、そのマンションの管理に関わることやルールなど、様々な方針を決めていく、マンションにとって重要な役割を担っているわけです。

清掃などの日常管理は、管理会社などに委託しているケースがほとんどでしょうけれど、彼らに決定権はありませんから、管理組合がそのマンションの維持管理の中枢と言うわけ。

 

ところが、高齢化の進んだマンションでは組合の役員の成り手がいない。

「私はもう歳だから。」

「運営は若い人に任せるよ。」

十数年後のマンションの朽ち果てた姿が浮かびまする(涙)

 

実を言うと、私も今マンション住まい。

もっぱらの成り行き主義ですから、この先どうしようとか、もちろん永住するなんて考えたこともないし、ワタクシ個人は、常にフットワーク軽くをモットーとしておりますが、いや、世間の永住意識を垣間みると、ふと、自分の終の棲家はどこなのでせう?と黄昏れてみたりしたわけでアリマス。