New Yorkのハーレムに見る公営住宅の未来像

 

ニューヨーク、マンハッタンと言えば、自由の女神。

ええ、まあそうなんですけど、北部にはアフリカ系アメリカ人が多く住む居住区「ハーレム」がある。

ちょっと前、ビルの爆発倒壊事故があったのも、ここ東ハーレムの一角。

 

一昔前までは、ニューヨークでも危険な場所として知られ、私も随分昔に訪れたときには、米国にいた友人(日本人ですが)に、こっから先は行っちゃいかんよ、と言われました。

まあ、それでも今は随分治安もよくなったと聞きますが。

なぜ、ここがかつて危険な場所として(もしかすると今もそうかもしれませんが)知られていたのか。

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ご存知の通り、アメリカという国は移民の国であり、積極的に移民を受け入れてきた。政府は貧困状態に陥りやすい移民たちの居住環境を確保すべく、19世紀より様々な試みを行ってきた。

1950年代から1960年代に、今の日本の「団地」の原型とされる大規模公営住宅が、ハーレム地区に建造され、スラム住民たちを移住させる。

今、この大規模公営住宅の敷地周辺には警官やパトカーが駐留して、周辺を警戒している。

そう、政府が行った住宅供給は、低所得者層や貧困層、ひいては民族や人種などまでも似通った人々を、一定の地域に纏めて住まわせることになった。

まだ少なからず人種差別が残っていた時代、生活の貧しさに加え、そうした差別から来るはけ口が「犯罪」という形で多発することになる。

 

さて、場所を日本に戻そう。

戦後の日本の住宅は、ほぼ米国を模倣してきたと言ってもよいだろう。

「すべての国民に住宅を」をスローガンに、作れや作れの大合唱。

米国に倣って公営住宅も多く建てられた。

東京都に限っていえば「都営住宅」と名のつくもので26万戸弱ある。

 

ビックリしたのは、その入居応募倍率。

応募してもなかなか当たらない、というのは聞いたことありましたが、人気の場所では1000倍を超えてます。宝くじか。

 

しかし、ここで言いたいのはそんなことではなく、日本の公営団地もハーレムになる可能性があるんじゃないの?ということ。

同じような年齢、同じような社会的ステータスが、居心地のよいコミュニティーを作るのは、間違いではない。

しかし、新宿区にある戸山団地のように入居者の半数以上が65歳以上という、まるで高齢者専用住宅のようになっている団地では、日常的なちょっとした助け合いも、多くを期待することができない。

同様に、「そこに住んでいること=低所得者層」というレッテルが貼られる。

 

人間らしく生活するためには何よりもまず住宅だとする「Housing First」の考えは間違いではない。危険な生活から抜け出し、雨風を凌げる住宅を提供することは、生活の基本だ。

しかし、政策として箱ものを提供する方法は、時として生活困窮者を囲い込む危険を孕んでいる。

家賃補助という考え方もありだと思うのだが、どうなんだろ。むしろ彼らの生活向上意欲を掻き立てるのではないかと思うのだが。