本当のカッコよさは周囲への気遣い-建築現場から見える美意識の高さ

 

うーん、さすがですわ。

やっぱり、彼らの本質というのでしょうか、「美」に対する考え方がなんか違う。

 

思わず唸ってしまったのは、欧米での建築現場で見られる足場シート。

ヨーロッパなどの古い街並みは、その美しさに多くの観光客が訪れる。

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んで、そんな美しい景観を崩さないように、建物の改修工事には、足場シートに建物の外観をプリントしたシートが張られ、ぱっと見、工事現場だと気づきにくい「仕掛け」がされる。

(初めて現場を訪れる職人が迷ってしまうんじゃないかと変な心配をしてしまうワタクシですが…)

こうした「仕掛け」シートは、大判プリントの技術が発達したおかげで、欧米の各地で多く見かけるようになったとか。

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足場とか仮囲いとか、しょっちゅうご対面しております身にとっては、まあ、ある意味、自然すぎて気にも止めなかったのですけれど、そうはいっても、工事現場のあの殺伐とした雰囲気は、決して気持ちのよいものではない。しかも、埃っぽいし、コンタクト入れた目が痛くてたまらん。

 

ここ日本でも、足場シートではないけれど、仮囲いにチョットした工夫をしている現場を見かけたことはございましたヨ。

壁面緑化みたく、仮囲いに所々緑(たぶん本物の植物だと思う)を入れたりだとか、近所の小学生が描いた絵を貼ってたりとか。

しかし、シートは未だお目にかかったことはない。

大抵は、ゼネコンやらデベロッパーやらの社名がデデーンって貼ってある。

なんなんでしょうね、あれ。

まあ、広告というか会社の宣伝なんでしょうけど、ハタから見るとカッコ悪くて仕方ない。「ここはウチが工事してんだぜ、どや!」とでも言いたげに、でかでかと貼り出してて、なんかこう、スマートじゃない。

 

こうした「仕掛け」シートを作るには、もちろんお金もかかる。その建物の外観をプリントしたら、使い回しはできませんから、その現場限りのものになってしまう。

エコじゃないね、って声が聞こえそうですけど、美しいものを美しいままの姿で、周囲を不快な気持ちにさせない、そうした周りを気遣う高い意識が、彼らには根付いているのだと思う。

思うに、そうした彼らの気遣いが、見る人の美意識をも高める相乗効果を持つのではなかろうか。

 

この「仕掛け」シートを制作する会社は、海外には結構たくさんあるようで、その中の一つ、米国のBritten

がニューヨークのプラザホテルの改修工事に用いた足場シートを掛ける様子をYou Tubeに公開しております。

NY The Plaza Hotel Time-Lapse

 

実は、欧米では随分前からこの「仕掛け」足場シートは用いられてきたようで、最近では、建物外観だけでなく、小洒落たブランドの広告が入ったりすることもある。

同じ広告でも、自社の社名をデデーンと貼付けるのとは大違い。

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自社の社名をでかでかと掲げるのだってお金かかるわけだから、どうせならカッコ悪い広告にお金かけるの止めて、他の芸術的広告掲載募集して収入にしたらどないですか?

(オッとまた辛口–;)