イギリスが島国でなくなる日

 

近代建築アール・ヌーヴォーを代表する建築家といえば、マッキントッシュ

スコットランド、グラスゴー出身の彼は、グラスゴー美術学校Willow Tea Roomのインテリアなど、地元に数多くの業績を残している。

全然関係ないですが、Apple社のMac、いまや通称「マック」と呼ばれていますけど、昔はMacintosh(マッキントッシュ)だったんですよね。ブラウン管テレビのように、でっかい図体をしたパソコンも、いまや全て薄く軽々と持ち運べるものとなっておりますが。。

 

話それましたが、えっと、別にワタクシ、マッキントッシュを崇拝しているわけでもなんでもないのですけど、単に興味本位といいますか、英国に行ったなら彼のアール・ヌヴォーたるものを拝んでおこうと、ロンドンから鉄道でグラスゴーまで向かったことがあります。

途中、何故か電車が止まって、しかし日本のようにすぐにアナウンスが流れるわけでもなく、原因も分からず延々と待たされる始末。

が、そこはヨーロッパ人なんですねー。誰も苛立もせず、慌てもせず、みな悠々と読書に耽る人あり、会話に華を咲かせるグループあり、一向に気にする気配もなく、待っているんですな。

 

んで、ロンドンから5、6時間かけて、夜遅くようやくグラスゴーに到着。

何だか、大きな会議が催されていた期間だったらしく、ホテルはどこも満室。マイッタ。

インフォメーションの案内でやっと郊外のホテルを見つけ、タクシーで向かうことに。

黒塗りのオースチンに乗りこんだ時は、英国貴婦人にでもなったかのような感動でございました。

霧の街ロンドンと言われますけれど、少し霞んだ街並みはグラスゴーも同様に美しく、行き当たりばったりで向かった街をひたすら歩いていた記憶があります。

ミーハー的精神で、Willow Tea Roomに入り、紅茶を頂きながら、不審な目を向ける現地の人をよそ目に写真を撮っていた変な東洋人を演じておりましたけれど、やはり、街の落ち着きといいますか、歴史を積み重ねたヨーロッパの文化は雄大な美を作り出していると感じるのであります。

 

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そんな落ち着き払った英国ではありますが、このところ、何やら英国史上に残る最も重大な出来事がおこるかも知れないという、噂が流れております。

スコットランド独立。

ま、元々は独立国家だったものが1707年にGreat Britainに統合されたもので、一つの国家ではあっても、未だにサッカー等の試合では露骨に敵対心丸出して戦うなど、自らの民族に誇を持っている彼ら。

今年9月にスコットランド行政府により、独立の是非を問う住民投票が行われる。

イギリス人ジャーナリストですら予測不可能と言うくらいだから、実際のところはどうなるか分からない。

無論、法律、通貨、社会保障等々、同扱って行くのか問題は山積みとなることが考えられ、現実的に可能なのか、という疑問は残るものの、しかし、成熟した先進国でありながらこうした動きがあるということは、言い換えれば、国家という枠組みがグローバル化という波に押されて次第に弱まってきているということの証なのかもしれない。

 

今や、社会も経済も、一つの国家内だけで完結することはできず、国家は常にグローバル社会とともにある。すると、スコットランドのように独自で確立した社会を築いてきた地域などは、国家に属する意味あいが薄れ、且つ自らの民族性に誇りを持ち独立心の強い地域社会は自らの国家をを築こうとする。

単一民族である日本人の私には、それがよい方向なのかどうかは分からない。

ただ、今まで築いてきた文化が失われることなく、お互いがそれぞれの文化を尊重し合える友好関係を築いて欲しいと願う。