「施工ミス→建て替え」が当たり前になる日

 

なんだかなー。

先日のM社のマンション建て替えが決まったと思ったら、今度はS社の方もだってさ。

 

S社のマンションはM社よりも前に問題が発覚していたもの。(どっちも横浜だけどね)

5棟のうち4棟で杭未達、うち1棟が傾斜しているとかで、すったもんだ協議を繰り返していた模様。

傾斜した1棟を建て替え、残りは補修で話がまとまりつつあったところ、M社の経過を見てた住人から「ここも全棟建て替えろ!」との声が。。あらら。

んで、結局、施工を担当したK組は全棟建て替えを飲んだとさ。

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いやな流れになるな、これ。

咄嗟にそう感じた。

確かに、支持層に届いていない杭基礎なんて、おっかなくて近寄りたくない。(ちょっとオーバーか)

この前の台湾地震じゃないけれど、通常では考えられない倒れかたをする場合だってあるやもしれん。

実際のところ、どのくらい危険なのかなんて、厳密には誰にもわからん。

 

しかし。

問題のない棟まで壊す必要あるんかなあ・・と、正直M社の時も思ってた。

他にも何か問題があるかもしれない、ともう、疑心にどっぷり浸かっちゃって、もう何もなくても気持ち悪くて住めない、こんなとこ!とヒステリック状態になってしまっている住人の気持ちはわからなくもない。

ただ、客観的に(あくまで客観的に)みると、「全棟建て替え」が果たして正解なのかどうか、大いに疑問を持ってしまうわけで。

 

確か数年前にもあった。

これは施工途中で発覚したものだったが、コンクリート打設時に開けるべき穴を忘れてて、後から貫通させた結果、鉄筋を切断、それが購入者側にバレて売主側が建て替えを決めた。

東京一等地の億ションの話。

 

この時も、建て替え報道に内心、すげー、大手だからできんのかなー、なんて驚いたもんです。

だって、コア抜き(後からダイアモンドカッターで穴を開けること)なんて、知る人ぞ知る、建築業界じゃザラにある裏話だからサ。

当然NGですよ!NGだけど、まあ片目つぶってやってるわけなんですわ。もちろん、見つけたら速攻補修させるけどな。アタリマエダ

 

ただ、やっぱり、今回の流れを見るに、

「施工ミス→即建て直し」

という考え方が、一般に浸透してしまうのは、少々恐ろしさを感じるわけであります。

もちろん、ミスの内容にもよりますけども、補修可能なものまで、すべてダメ!やり直し!となってしまうと、ワタクシがゼネコン経営者なら、マンションは絶対受注しない。おっかなくてできませんよ。

 

言うまでもないですけど、ミスのないように施工をするのは大前提の話。

そもそも意図的に手抜きをするようなトンデモゼネコンは、とうの昔に業界から消えている。(しぶとく生き永らえているとこがあるかもしれんが)

大体は施工管理能力のなさが原因だが、大抵は補修ないし補強で対応できる。

まあ、新築の場合はね、どこまで品質を求めるかってことで、結構難しいところではありますし、なかなか専門的な話を理解してもらうのは大変かもしれん。けど、ここは作り手の責任だと思うよ。

 

決して施工会社を擁護するわけじゃないが、施工にしても設計にしても、何かミスが発覚したら、十分に検証するまでもなく建て替えという流れができてしまうと、これは当事者だけでなく、経済社会全体にとってダメージが大きい。

当然、受けるゼネコンは限られてくるでしょうし、施工単価もリスクを取る分上がる。

と、販売価格も上がるので、結局購入者が苦しくなる。

こんなんじゃ、買えん!と売れ行きが悪くなる。で、不動産業界が落ち込む。

ちょっと大げさかもしれんがな。

 

まあ、不動産業界が落ち込むより先に、アベノミクスが死語になってしまう方が早いですかな。(ハハ、マジ笑えんわ)